キャサリン・マクダーモットは学校の休暇を利用して、日本に駐在する父をたずねて来た。父とハウス・キーパーの田代正子に迎えられたキャサリンは、家へ向う自動車のなかから見る珍しい風景に心を奪われていたが、自分位の年頃の少女をリーダーにした子供の楽団が街角で演奏していた姿は特に心に残った。その楽団は阿部マリ枝を頭にした浮浪児の集まりだったが、「孤児院聖母寮建設資金募集」の旗をたてて稼いでいるのだった。それを街のボス浅沼利一にいんねんつけられ、追われてマリ枝が逃げ込んだのが、キャサリンの家だった。言葉は通じないながら二人の間には手真似、眼まぜで段々親しさが増し、大の仲良しになった。楽団の解散で、喰えなくなった浮浪児が、またもとのチャリンコをやってつかまったとき、キャサリンは何もうたがわずマリ枝のいうまま子供たちの身許引受人になってやった。そして、ほん気になって孤児院聖母寮の建設資金募集を思いたち、マリ枝をはげました。マリ枝はキャサリンをいつわっていたことを後悔し、子供たちを集めてこんどは本当にそのために働き出した。キャサリンの父や、田代正子などの援助でやっと寮の建設の運びになったとき、キャサリンも休暇が終り彼女を愛するたくさんの人々に見送られ、アメリカへと立って行った。