バクダッドの水売り商人アルディンは奴隷市で売られている女奴隷に魅せられた。彼女の名前はミリアム。そのミリアムをせり落したのは、バクダッドの警視総監の放蕩息子だった。アルディンは金のない悲しさ、茫然と見守るよりなかった。その時、大旋風が起こった。アルディンは、絶好のチャンスとばかりミリアムをさらった。しかし、王の座を狙う捕吏バドリーは四十人の盗賊を使って二人を捕えた。アルディンは監獄にぶち込まれ、ミリアムは、警視総監のドラ息子のもとへ送られた。ところが、彼は嬉しさのあまり階段から落ちてあえない最後をとげた。一方、アルディンは監獄の看守長の手助けにより脱獄。早速ミリアムを探し求めたが、時すでに遅く、ミリアムはアルディンの子供を産んで世を去っていた。ミリアムが子供を産んだとは知らないままアルディンは、憎いバドリーを追って、四十人の盗賊がいる山塞に来た。アルディンは、金銀財宝を持ち出そうとした。だが、盗賊の首領カマーキムの娘マーディアに発見されてしまった。ところが、マーディアはアルディンの陽気さに好感をもち財産を持って山塞を脱け出した。二人が空飛ぶ木馬で飛来したのは女護が島(にょごがしま)だった。マーディアは女人禁制から追いだされ、残ったアルディンは快楽の日々を送った。好奇心の強いアルディンは、ある日禁断の扉を覗いた。驚いたことには、女王の正体は大蛇だった。なんとか大蛇から逃げきったアルディンが次に辿りついたのは無人島だった。そして、彼が食人鬼に捕われかかった時、空をおおわんばかりの怪鳥が現われ凄絶な格闘を展開した。やがて、彼は巨万の富を積んだ難破船を発見、一躍大金持になった。年月が流れ、ミリアムが生んだ女の子ジャリスが黒の都の羊飼アスラーンを恋するようになった。時を同じくして船乗りのシンドバッドもバクダッドを目指していた。シンドバッドの一隊がオアシスにテントを張った時、四十人の盗賊が彼らを襲った。ところが盗賊たちはバドリーの指揮する守備隊に殺されてしまった。それは狡猾なバドリーが大富豪シンドバッドに近づこうと仕掛けた罠だった。ところが、バドリーはシンドバッドがアルディンであることを知って驚いた。やがて、シンドバッドはその財力で王位についた。バドリーは忠実な部下を装っていたが、策略をめぐらしていた。彼によってアスラーンとの仲をさかれたジャリスは、シンドバッドのハレムに参上した。バドリーは早速二人の近親相姦を発表した。ところが、あぶないところに魔女王ジニーに助けられたアスラーンがかけつけたため、シンドバッドはジャリスと寝ていなかった。やがて、悪事の露見したバドリーはマーディアの矢を受けて死んだ。王座は、シンドバッドにとって何も得るものがなかった。もとのアルディンに戻ったシンドバッドは新たなる希望に燃え旅立っていった。