男性      女性

※各情報を公開しているユーザーの方のみ検索可能です。

NEWS

KINENOTE公式Twitter

青幻記 遠い日の母は美しく

  • せいげんきとおいひのはははうつくしく
  • Time within Memory
  • ----


  • 平均評点

    68.6点(49人)

  • 観たひと

    73

  • 観たいひと

    6

  • レビューの数

    9

基本情報

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1973
公開年月日 1973/2/24
上映時間 117分
製作会社 青幻記プロ
配給 東和
レイティング
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
カラー/サイズ カラー/ビスタ
メディアタイプ
音声
上映フォーマット

スタッフ

キャスト

出演田村高廣 大山稔
賀来敦子 平田さわ
山岡久乃 たか
戸浦六宏 三昌秀次
小松方正 平田猛
藤原釜足 鶴禎老人
原泉 祖母
浜村純 ユタ
殿山泰司 豆腐屋の主人
三戸部スエ とく
田中筆子 鶴禎老人の姉
大井一成 稔の少年時代
新井庸弘 稔の少年時代
伊藤雄之助 大山公平

解説

奄美諸島のひとつ沖永良部島を舞台に、母と子の哀しく清々しい情愛を、美しい厳粛な大自然と対面しながら、謳いあげる。原作は一色次郎の同名小説で、「儀式」のカメラマンの成島東一郎の脚本・撮影も担当した監督第一回作品である。脚本は他に平岩弓枝、伊藤昌輝が共同執筆。

あらすじ

わたしは、三十年たった今も、母のことが忘れられない。ふるさとの沖永良部島の青い海と白いサンゴ礁のなかに、なつかしく、くっきり見える。ついに島を訪れたわたしは、母の幻を見た。そして、すっかり老いた鶴禎老人に会った。過ぎ去った昔の想い出を、うすれた記憶にたどる老人だった。わたしの追憶も、あの三十年前の情景をありありとよみがえらせていく。若く美しい母と、幼いわたしの日々を……。鹿児島での祖父と、祖父の妾のたかとくらしたつらい生活から逃げるようにして、船に乗り、島を初めて見たのは、母が三十歳、わたしが小学校二年生、昭和となってまもない頃だった。母と祖父とわたしの三人の、貧しくとも温く肩を寄せ合った島の生活が始まった。母は、学校帰りのわたしを、毎日迎えてくれた。それよりも、わたしは一度でもいいから、母に抱きしめてもらいたかった。しかし、母は、病いのうつることを恐れて、決してわたしにふれなかった。台風のくる頃、海は荒れ、島の食糧は枯れ、灯りの油すら買えず、闇の中でひっそり眠った。それでも、年に一度の敬老の宴で、村人たちは夜のふけるまで、酒をくみ、踊った。母の踊りは、かがり火に映え、悲しみをはくような胸苦しいまでに美しい踊りであった。そして、冬のある晴れた日、サンゴ礁で、草舟を浮かべたり、魚を捕ったりして、半日を遊んだ母とわたし。それが、母とわたしの最後の日であった。母の葬いの日。母の死の理解できないわたしは、祖母につれられ、ユタを訪ねた。ユタの夜、わたしは、母の声を幻のようにきいた。……稔さん、お母さんは、一度でいいから、あなたを力一杯抱きしめてあげたかった……稔さん……稔さん……。

関連するキネマ旬報の記事

1974年2月上旬決算特別号

特別グラビア 日本映画ベスト・テン:津軽じょんがら節/仁義なき戦い/青幻記/股旅/恍惚の人/四畳半襖の裏張り/戒厳令/仁義なき戦い 代理戦争/男はつらいよ・寅次郎忘れな草/戦争と人間完結篇

特別グラビア 読者のベスト・テン 日本映画:仁義なき戦い/股旅/朝やけの詩/仁義なき戦い 広島死闘篇/戦争と人間完結篇/男はつらいよ寅次郎忘れな草/青幻記/赤い鳥逃げた?/日本侠花伝/恋人たちは濡れた

1973年3月上旬号

日本映画紹介:青幻記 遠い日の母は美しく