ヴィクトル(ヴァンサン・ランドン)は妻と二人の子供に囲まれ、幸福な家庭生活を送っている敏腕な企業弁護士。ある朝、目覚めた彼を待っていたのは、妻マリー(カトリーヌ・ヴィルクニング)の突然の家出だった。「彼と一緒に行くわ」、彼女はそう言って電話を切った。妻が駆け落ち? 混乱の中で事務所に出社してみると、突然の解雇通知。なぜだ? 怒り、いらだつヴィクトルは友人たちを訪ねて自分の窮地を訴え、慰めを得ようとするが、誰もが彼以上に深刻な危機感にさいなまれていた。彼はやけ酒を飲んだ酒場で、さえない感じの中年男ミシュー(パトリック・ティムシット)と知り合い、意気投合する。一方、上司のローラン(ジル・プリヴァ)とフランソワーズ(イザベル・プティジャック)の夫妻も離婚の危機に見舞われていた。フランソワーズは誠実なミシューと急接近する。ミシューを連れて故郷に帰ったヴィクトルを待ち受けていたのは、母(マリア・パコーム)が父(イヴ・ロベール)と別れて家を出るという意外な事実だった。ミシューや妹とこの地方の代議士を訪ねたヴィクトルは、彼との対話の中で環境問題や労働問題について大きな疑問を感じる。ヴィクトルとミシューは新しい法律事務所を始めたことになった。離婚したフランソワーズはミシューと恋人同士の関係になるが、ヴィクトルの心の虚しさを埋めるものはまだなかった。彼は、自分の都合でしか妻を理解していなかったことに気づいて愕然とした。失ったものは大きい。その時、妻のマリーが現れた。駆け落ちは狂言だった。妻からも信頼されていなかったのだ。ヴィクトルはもう一度始めからやりなおすつもりだった。