西暦一一二二年、フランス国王ルイ六世は、国王の命を救ったことに対し、勇敢な騎士ゴッドフロワ・ババクール(ジャン・レノ)に伯爵の称号を与え、領主ブイユ侯爵の美しい娘フレネゴント(ヴァレリー・ルメルシェ)を妻として迎えさせた。喜びもひとしお、婚礼のために戦地から帰路についたゴッドフロワは、途中の森で黒魔術を司っていた魔女を捕らえ、火あぶりの刑に処した。だが、魔女に呪いをかけられた彼は、なんと婚約者の親を殺めてしまう。絶望の淵に立たされた彼は、大魔術師エウセビエスに呪いをといてくれるように哀願する。そこで魔法の薬で時間線をさかのぼり、不幸な事件の起こるのを回避することになった。秘薬を飲み干したゴッドフロワと侍従のジャックイユ(クリスチャンメ・クラヴィエ)が目を覚ますと、なんだか様子がおかしい。灰色の街道(舗装路)には鉄製の悪魔の箱(自動車)が走っており、人々は奇妙な格好をしているではないか。そう、薬の調合を間違えたために彼らは一九九〇年代に送り込まれてしまったのだ。元の世界に戻るべく、まったく理解不可能な世界を進む二人。自分の子孫のベアトリス(ヴァレリー・ルメルシェ二役)の家に居候として住み着いた彼らは、慣れない現代文明に悪戦苦闘しながらも過去の世界に帰る手だてを探す。そして二人はエウセビエスの子孫を見つけ出し、もとの時間に還る魔術で婚約者の親を殺す前の時間に戻ることができるのだった。