ル・アーブルから紐育に向けて行く豪華船ノルマンディ号。この汽船に乗った人びとは、父親たるアメリカの億万長者ビリンガム(ルネ・アレクサンドル)の反対にも拘らず、若い記者ポール(クロード・ドーファン)を恋するジェーン(ジゼール・プレヴィル)、小説家カスタニェール(マルセル・シモン)とその妻(マルグリット・ピエリー)及びカスタニェールの秘書と称する女(ガビ・モルレ)、パトロンを物色しているミス・ドーヴィル(リーズ・クールベ)とそのマネージャー(ジュール・ベリー)、厳格なブルジョア紳士(エーメ・クラリオン)と元女優のその妻(シモーヌ・ベリオー)、宝石泥棒(アンドレ・ルフォール)とその連れ(モーリス・エスカンド)、それぞれ要務を以って乗船した二人の私立探偵(ミシェル・シモンとジャック・ボーメー)などである。そしてビリンガムの謎の失踪、宝石紛失などが船中の大事件として突発する。