タクシー運転手のシュリコフ(ピョートル・ザイチェンコ)は運賃を踏み倒したユダヤ人のサックス奏者のリョーシャ(ピョートル・マモノフ)を見つけ出して金を払わせようとするがあいにく文無し、怒ってサックスをかたに取る。しかし、それが原因でコンサートをキャンセルしたリョーシャは失業してしまい、責任を感じたシュリコフは彼に住む場所を提供し、代わりにリョーシャは持っている西側の服を売って借りを返していくという取引きを提案する。こうして2人の奇妙な共同生活が始まるが、金だけしか信じないシュルコフは音楽のことなど何もわからず、彼が垣間見せる優越感はやはり耐えがたいものだった。一方、リョーシャにとっても労働させられることは屈辱的なことだった。こうして2人の間に友情が芽生えたかに見えたのも束の間、リョーシャはシュリコフのもとを去る。そして彼はある日、アメリカから来た有名なサックス奏者ハル・シンガーに認められアメリカツアーに同行したことから一躍スターとなる。別人のように立派になった彼の姿に街の巨大なテレビモニターで再会したシュリコフは驚きと共に憎悪にも似た嫉妬を抑えることができなかった。成功したリョーシャはモスクワで凱旋公演をやることになり、音楽会など行ったことのなかったシュリコフも背広を着て出掛けた。そしてその後彼はささやかな祝宴の準備をしてリョーシャを待つが、真夜中になっても現れない。ようやく明け方に取り巻きたちと共に酔っ払ってやってきたリョーシャは、シュリコフたちをからかったあと車で去って行った。その時シュリコフの怒りは頂点に達し、早朝のモスクワの街で彼らの車を猛スピードで追跡。だが横転し、炎上した車の中からはい出てきたのは見知らぬ人だった。朝焼けの中、炎は燃え続けていた。