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石の花(1946)

  • いしのはな
  • KAMMENNYI TSVETOK
  • A STONE FLOWER

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  • 平均評点

    65.8点(28人)

  • 観たひと

    55

  • 観たいひと

    4

  • レビューの数

    6

基本情報

ジャンル ドラマ
製作国 ソ連
製作年 1946
公開年月日 1947/11/4
上映時間 80分
製作会社 モスフィルム
配給
レイティング
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
カラー/サイズ カラー/スタンダード
メディアタイプ
音声
上映フォーマット

スタッフ

キャスト

解説

「モスクワの音楽娘」についで公開されるソ連映画の第二弾であり、戦後日本における最初の色彩映画である。原作者であり同時に脚色をI・ケレルと協同で担当したP・パジョフは現在ウラル地方の民俗作家としてまた新しい童話作家として著名でありスターリング賞けい冠作家の称号をもっている。その代表作の一つ「石の花」はロシア人独特のねばり強さと純真な人間愛をテーマとした作品で、映画化に当りシナリオの専門家I・ケレルがシナリオに協力した。監督アレクサンドル・プトゥシコはモスクワ撮影所におけるトリック映画、立体映画の権威者で、一九三四年に発表した長篇人形映画「新ガリヴァー」によって彼の名声は世界的になった。一九三七年にはプーシキン原作の夢幻劇「ルスランとリュドミーラ」を発表、続いて三八年にはじめて色彩漫画映画「漁師と魚物語」を完成した。さらに三九年には立体漫画映画「黄金の鍵」を製作、その後間もなく戦時製作に入り、一九四六年戦後最初の天然色大作として本篇を製作した。この映画によって、彼は一九四六年度芸術映画スターリン賞を得たが、またフランスのカンヌで開催された四六年度世界映画審査会においても最優秀作品に推される。撮影のフョードル・プロヴォロフは色彩映画の一流技術家でありソ連最初の色彩映画「うぐいす」(監督ニコライ・エック)を一九三六年に完成、またソ連の年中行事たるスポーツ祭をはじめて天然色で撮影(一九三八年)したのもこの人である。美術担当のミハイル・ボグダノフ及びゲンナジー・ミャスニコフはともに一流の舞台装置家として著名である。出演者のうち主人公ダニーラにふんするウラジミール・ドルージニコフと娘カーチャにふんするデレーヴシチコフはいずれも新人であるが、女王にふんするタマーラ・マカーロワは一五年前日本でも公開された「イワン」に出演しており、その後「コムソモーリスク」(三八年)、「先生」「青春の峰」(四〇年)等に出演、ゼヴェリヤンにふんするM・ヤンシン、老職人にふんするM・トロヤーノスキィはいずれもモスクワ劇壇の大幹部で、古くから映画にも出演している。

あらすじ

石工のプロコピイチは孔雀石細工にかけてはウラル一の名人だった。彼ほど石の心をよく知っている者はなかった。しかし、彼の仕事に衰えが見えてきたので、工場の持主である貴族はセヴェリヤンを通じて、死ぬ前に弟子に仕込むようにとプロピイチに命じた。そこで彼の許へ多くの子供たちが弟子入りをしたが、むずかしい石刻芸術に向くものがないので、彼はみんなを追い出してしまった。工場の近くに同じ貴族に使われているダニールシカ(ダニーラの愛称)という牧童が住んでいた。彼は手製の角笛を吹くのが好きで、これを吹いていると世の中の凡ゆることを忘れるのだった。ある日夢中で角笛を吹いていたとき、ダニールシカの受持ちの牝牛が狼に襲われ、そのため彼は半殺しになるほど鞭で打たれた上、プロコピイチの許に弟子入りさせられる。ダニールシカは弱々しいやせた男の子で、石工になれそうには見えなかったので、プロコピイチははじめこれを喜ばなかった。しかし、ダニーラは真実の美というものを理解できたので間もなくその愛弟子となることができた。貴族はフランスにいる友人に今までに比類ない孔雀石細工の手文庫を見せて驚かせようと考え、プロコピイチに手文庫を注文し、期限内に必ず仕上げるようにと厳命した。プロコピイチは最後の力をふるって夜も昼も一心に手文庫作りにかかったが、途中で病気のため倒れてしまった。約束の期限がきて自ら仕事場へやって来た貴族に、プロコピイチは仕事のでき上がらないことをわびるが、貴族はダニーラの指すすばらしい出来栄えの手文庫に見惚れる。それはダニーラがプロコピイチに代わって秘かに造ったものだった。貴族は彼に手附の銀貨をあたえ、花の形をした鉢を造るように命じた。このことがあって以来、ダニーラの腕は既に名人の域に達し彼の名声は四方に拡った。ある日、ダニーラが川のほとりで角笛を吹いているとき、かたわらでそれにきき惚れている一人の少女があった。彼が吹き終るとその少女カーチャは竜ケ丘で見附けたという世にもまれな美しい花を彼に贈り、そして次の日曜日にまたここで会う約束をした。ダニーラはカーチャに対する愛のしるしに、その花とそっくりの孔雀石の鉢を造った。仲間の名工たちはその鉢を見て驚たんするが、ダニーラは不満だった。なぜならその石は死んでいるからである。しかし、この世の中に生きた石の花はあろうか。一人の老石工が答えた。「冬になると銅山に石の花が咲くだ。その山には地下の宝物を占め、技術の奥義をきわめた女王が住んでるだよ」と。冬になって、ダニーラとカーチャの結婚式があげられた。その式の最中にダニーラは「石の花は一年に一度咲くだけです。見たければ私と一緒においでなさい」という銅山の女王の声を聞いた。ダニーラは知らず知らず雪深い森に入っていった。銅山の女王はダニーラに自分の宝物を見せびらかし「あなたが私と結婚するならば、あなたは名工となるのです。」といって彼に結婚の申込みをしたが、カーチャを深く愛している彼は拒絶する。女王は「石の花を造ってから自由な人になりなさい」と命じて彼を帰してやろうとしない。ダニーラは仕事をはじめたが、それが人間にとって無益であることを知り、ゆっくりその仕事をつづけていった。春がきて、プロコピイチはとうとう死んでしまい、カーチャは一人になった。しかし彼女はひたすらダニーラの帰りを待っていた。ある日、カーチャはダニーラを探しに銅山にゆき、女王に会った。女王は彼女を妨げようとしたがその強い愛の力には勝つことができなかった。カーチャはダニーラの胸に身を投げかける。「ダニールシカ、私の国かカーチャか、どちらかを選びなさい」と女王はいう。ダニーラはカーチャを選んだ。女王は彼の強い意思を賞で、彼を一層すぐれた腕にしてやり、またカーチャには秘蔵の手文庫をあたえて二人を開放してやるのだった。

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