ワルツとワインの都ウィーンの物語である。若くして皇位を継いだマリアは、近衛の大尉フランツ・フォン・ホーファと恋仲であったが、すう密院の老人たちは大尉が漁色家の評判が高いので、皇婿にはふさわしくないといって結婚を許さない。フランツはくさってその夜、金燈亭へ遊びに行き、チェンチと会った。彼女はすう密院長老プロハスカ伯の娘であるが、マスクをしているのでフランツには分らない。ふと浮気心で彼女を口説くと、チェンチはフランツの指輪をぬき取り、明晩返すと約束する。それは彼がマリアからもらった指輪である。チェンチは指輪をはめたまま翌朝マリアに頼みに行く。彼女の父プロハスカに、チェンチと恋人ステファンの結婚を許してやれと命令していただきたいというわけである。マリアは指輪を見て驚くがチェンチの話を聞くと身代りとなってその夜金燈亭へおもむく。プロハスカは女皇マリアに無断で、その夜十一時以降ワルツを踊るべからずとの布令を出す。マリアと金燈亭で会ったフランツは、彼女の正体を見破るが知らぬ顔で、チェンチであると思ってる風をして指輪を取返し、彼の山荘で夜食を共にしようと約束をする。フランツがその支度に去ったあと、マリアがチェンチの恋人ステファンとワルツを踊っていると、警官が来て捕えられる。これを知ったチェンチはフランツに急報しようとさがし回る。プロハスカはワルツ罪人を一人々々調べ、賄かくをとって放免していると、マリアの番となる。マリアはマスクを取りプロハスカを辞職させる。彼女は馬車をかってフランツの山荘へ行くと丁度チェンチが着いていたところで、マリアは二人の弁解を聞きいれない。そこでステファンがチェンチを追って来たのをつかまえ、マリアはステファンと結婚すると宣言する。翌日マリアは真実を知ったが、結婚広告を取消すわけにいかない。ステファンには結婚を命令した親書を密封した封筒が渡され、フランツは結婚式場を守護する禁衛兵の隊長に任命される。当日マリアが教会に着くと、大僧正は花婿が失そうしたと告げる。すう密院長老ロサンカ伯は、フランツに女皇がはじをかかないように善処せよとささやく、かつてフランツは女皇マリアと結婚式をあげたが、ステファンを昇任させ、ワルツを宮廷の公式ダンスとする旨を命じ、フランツと共にワルツを踊ったのである。