カレドニアン・イーグル財団を背景とするパリのユニヴァーサル銀行の頭取ニコラ・サカールは成上り者であったが財界のナポレオンであろうとする野心を抱き、理想とする一億フランの増資を決行しようと企てた。ところがその計画は財界の元老で石油王のアルフォンス・グンデルマンのために遮ぎられ、あまつさえユニヴァーサル銀行は取付けの憂目を見た、そしてサカールに一身を捧げていた虚栄の権化サンドルフ男爵夫人も彼を棄てて顧みなくなった。ところがサカールはジャック・ハムランという飛行家と知り合いになり、ハムランが権利を得ている南米ギアナに於ける石油採取事業について新計画をたてた。サカールはハムランを抱え込んで副社長に祭上げグンデルマンも支持しているかの如く装ったので、人気は忽ち湧きユニヴァーサル銀行には株を買おうとする人々が殺到した。期するところがあるグンデルマンは各地から多額の株を買わせたので忽ちユニヴァーサル株は世界の寵児となった。ハムランは完全な飛行機を作りギアナへ赴くために大西洋横断飛行を決行することになった。彼は無事目的地に着陸したが、彼が墜落惨死したという虚報が人々を驚かした。株は暴落した。墜落を虚報と知るサカールは事実を発表せずに暴落した株を買い占めに着手した。ギアナに於いてハムランは眼を害し、石油採取事業は思わしく行かなかった。サカールが催した饗宴の夜サカールはかねて懸念していたハムランの妻リーヌに暴行を加えようとして彼女に狙撃されたが、サンドルフ夫人が遮ったので流血の惨は見なかった。翌日リーヌは持株全部を市場へ投出した。続いてグンデルマンも莫大な持株を各地から売らせたのでユニヴァーサル株は大暴落をした。そしてサカールが背任罪として拘引されるとともに、失明してギアナから帰ったハムランも連累と目されて拘引された。かくてサカールは六ケ月の刑を受けたが、ハムランはグンデルマンの計らいで救われ、やがて眼病も全快してリーヌと共に更生の光明世界に生きることとなった。