モンテカルロ・ラリーといえば、現在では、プロ中のプロが競う代表的なレースだが四十年前には、冒険好きな紳士たちが腕をみせるアマチュア・レースであった。ラリーはまずモンテカルロから等距離の地点を出発して、一定のスピードで集合場所に到着せねばならない。さて出場者たちは、ヨーロッパの五つの地点から同時に出発した。スコットランドからはアメリカ人ギャンブラーのチェスター(トニー・カーティス)と英国貴族のカスバート(テリー・トーマス)が、ストックホルムからは、ドイツの巨漢で逃げこみのうまい前科者シッケル(ゲルト・フレーベ)と相棒のオットーの組と、ドーリッシュ少佐と部下キットの二組が、シシリア島からは、女性ドライバーのマリー(ミレーユ・ダルク)らの組と、警官ランチアが出場した。集合地点はグルノーブル。数々のアクシデントに出合いながらも到着。次はモンテカルロへ。人も車もへとへとになったが、なんとか全員たどりついた。だが、全車あまりに失点が多すぎるので市内のグラン・コルニシュ道路で再レースを行ない優勝者をきめることにした。さてさて、またもやアクシデント。タイヤを盗んだ者が出たり、ドイツのシッケル組の密輸がばれたり……。そして優勝のトロフィーはシシリアを出発した警官ランチアの組が受けた。だがランチアは難コースを走破したマリーらの女性組に敬意を表してトロフィーをゆずったのである。四十年前の、なんともおおらかなモンテカルロ・ラリーである。