一九六七年のパリ。哲学科の女子学生ヴェロニク(A・ヴィアゼムスキー)、俳優のギヨーム(J・P・レオ)、経済研究所に勤務するアンリ、画家のキリロフ、農村出の元売春婦イヴォンヌという思考も経歴も違う五人の若者たちが共同生活を始めた。「何かが変らなくてはならない」と望む彼らは、暴力とヒューマニズム、思想とモラル、文化行動の問題などをめぐってティーチ・インを続けていた。マルクス・レーニン主義の学習を通じて次第に毛沢東心酔者になっていく。これらの主義に生きるロビンソン・クルーソーのように--。大学教育の改革を主張するヴェロニクは、報告会の席上で、ある外国文化人の暗殺を提案する。反対したアンリは、修正主義者としてグループから除名され、暗殺者として名乗り出たキリロフは神とマルクス主義との間で死の幻影にさいなまれ、自殺。残りは三人になった。郊外を走る列車の中で、ヴェロニクは偶然フランシス・ジャンソン教授に出会う。〈ヒューマニズムと恐怖〉をめぐって、話しあううち、彼女は次第に行動に走るのを、ちゅうちょしはじめるかのようであった。だが暗殺は決行され、まったく無関係な人物まで殺してしまった。……数ヵ月の共同生活は終った。ギヨームは巡回演劇で忙しい。ヴェロニクは、一人になってしまったアパートを出ていこうとしている。いまやバカンスは終り、新学期が始まったこと、そして闘いが、ようやく始まろうとしていることをかみしめながら……それは、ある〈大長征〉の第一歩であった。