騎士道花やかなりし十一世紀。神聖ローマ帝国のルドイッヒ皇帝は、アラビア軍を相手に、聖地奪回のため十字軍を派遣していた。田舎出の青年貴族ゲランド(T・カーチス)は輝やかしい戦功をあげ名誉あるナイトの称号を受け、そのうえ拡大な領地をもらい受けた。そして自分の領地に住む猟番人の娘ボッカドーロ(M・ビッティ)に出逢ったが、その頃のゲラントは豪勢な城に住み酒池肉林の毎日。猟番人の娘など眼中になかった。ところが、ある日のこと、従者マルクルフォ(N・カステルヌオーボ)が、彼女を追いまわしているのをみて思い直した。領土の生娘はみんな自分のものだ。だがボッカドーロは容易には承知しない。ついに結婚して思いをとげることにした。しかしながらどうしたことか、その夜、ゲランドの身体がいうことをきかない。そのうえ、急な遠征命令。思いあまったゲランドは、新妻に貞操帯をはめ、カギをかけて出征した。自尊心を傷つけられたのはボッカドーロ。鎧姿に身をかためると、馬を飛ばして夫の後を追う。途中異教徒に挑まれたりもしたが例の貞操帯が役立った。そのうえ彼女の夫を思う心に敬服して忠誠を誓うドロゴーネという騎士まで現われる始末。やっとのことでゲランドとボッカドーロは再会出来たが、こんどは、貞操帯のカギを失くして大騒ぎ。だがカギはドロゴーネが持っていた。そして、このドロゴーネとは、実は騎士になりすましていたローマ帝国の皇帝であった。皇帝はポッカドーロの貞操観念正しきをたたえ、立ち去っていった。どうやら戦争も、これでおしまい。貞操帯のカギを開けるときも近づいたようだ。