フリー・シティは世界から独立した唯一の黒人共和国の首都であり、白人はここでは劣等民族である。航空会社の操縦士ミシエル(イヴ・モンタン)がここへやって来たのは、墜落した飛行機の中から発見した時価二億フランのダイヤを売り捌くためだった。それは密輸を図る彼の雇主が、薬箱にかくして運搬させようとしたものであった。だがミシェルが当てにした白人の故売者は、官憲から、追放されて町にはいなかった。ミシェルはセヴラン(ジャン・セルヴェ)というフランス人が経営する「外国人ホテル」に泊った。セヴランは戦争中ドイツに協力したかどで、欠席裁判のまま死刑を宣告されていた。彼の妻マニュエラ(マリア・フェリクス)はセヴランがまだ全盛の頃パリで結婚した女だが、酒びたりのセヴランをうとんじ、政治家を夢みる黒人シドネイと情を通じていた。マニュエラはミシェルに心を動かし、彼を逃がそうとするが、ダイヤの正当な持主の使者ウォルフはあらゆる手段を用いて、それを妨害した。クリスマスの夜、敵同志のウォルフとミシェルが突然意気投合したのは、二人が戦争中、空の勇士として活躍したパイロットと判ったからで、二人の身の上も失敗もすべてが似ていた。そして二人は手を携えて出発を誓い合うが、マニュエラを手放すまいとあせるセヴランの激しい嫉妬が、二人の希望をくつがえす時が来た。フリー・シティに近い入江のほとりで、セヴランとマニュエラが死に、ダイヤは水底に吸い込まれてしまった。重傷のウォルフを抱えて、ミシェルはフリー・シティに辿りついた。ダイヤは失ったが、かけがけのない男同士の友情が、力強く二人を支えてくれるだろう。