十七世紀パリ。フルール(G・バレー)は人気者の道化師だが剣が強く、情事にかけてもスゴ腕だ。ポンピニヤン夫人との情事を嫉妬したラ・トゥール侯(A・ド・メンドーサ)とのいざこざも、フルールのソノ道の練達さを物語るものだ。ある日、スウシール侯(J・ブルグエラ)という老貴族が楽屋を訪れて、フルールの出生について質した。それはラ・トゥール侯の親フロワッサール公に、自分の子の疑問を解いてくれるように、との遺言によるものだった。公の死の前後の事情には陰謀の臭いがする。公の夫人は難産で死んだ。公はこの時留守で、実は公の異母弟ビランコート卿がある女に生ませた子を取りかえてしまっていたのだ。この偽の子が現在のラ・トゥール侯なのである。これに気づいた公を侯は殺してしまったのだった。しかし、この陰謀の全貌を知ったスウシールは何者かによって殺された。だが、侯は死ぬ前にその概略を養女ディアナ(M・ジェラルドン)に話していた。ラ・トゥール侯は、犯人はフルールだと主張し、自ら兵隊を従えてフルール逮捕に出かけた。が、フルールは脱出した。その後もディアナを誘拐してフルール殺害を計ったりしたが、その度にフルールは危機を脱した。そのうちにラ・トゥール侯はフロワッサール公を継承することになり、披露大パーティーが催されることになった。フルールは道化芝居一座を率いて会場に現われ、貴族、高官の前でフロワッサール公殺害の芝居を演じた。法務卿の前でビランコートを糾問し、公暗殺の罪を認めさせた。自暴自棄になったラ・トゥールはフルールに戦いを挑んだ。もちろん、フルールはラ・トゥールを倒した。フルールこそ、フロワッサールの息子だったのだ。