ジェーン(L・キャロン)はフランスの片田舎に育った娘だが、陰気な空気をきらってとび出し、英国人の家庭に住みこんで働くようになった。そのとき、失業中の俳優とのあやまちから彼女は妊娠し、結局その家を出ることになった。一度は堕胎を考えたが思いとどまり、新しい生活を始める決心をした。引っ越したアパートは板仕切りで、L型になっていた。仕切りの向うには黒人のジャズ音楽家ジョニー(B・ピーターズ)が、一階下には作家志望のトビー(T・ベル)が住んでいた。ジェーンと二人の青年は、その日のうちに友だちになった。ジェーンは食堂のウェイトレスとして働くようになったが、妊娠していることはジョニーしか知らなかった。それだけに彼はジェーンのことを心配し、なにくれとなく面倒をみるのだった。しかし、何も知らないトビーと彼女の間は目に見えて親しさを増し、ある夜二人は結ばれた。それを知ったジョニーは翌朝、トビーに彼女の身体のことを話した。その日の夕方、トビーはアパートから姿を消した。クリスマス・イヴの日、家主の部屋でパーティを開いている最中、ジェーンが産気づいた。病院に姿を見せたトビーは「L型の部屋」と題した小説の原稿をおいていった。しかし、退院したジェーンはフランスへ帰る決心をした。トビーのタイプライターの上へ原稿と手紙を残して彼女は去った。「すばらしい小説です。でも終りがあったら、もっとすばらしいと思います」