十八世紀末、ナポレオンが救国の英雄として国民の衆望を一身に集めている頃、彼の妹で天性の美貌をもつパオリーナ(ジーナ・ロロブリジーダ)は、青年議員フレロンと結婚するつもりでいた。ところがイタリア戦線からもどったナポレオンは、フレロンが政敵であることを理由に、二人の結婚に反対した。兄のすすめでイタリアに来たパオリーナをむかえたのは兄嫁のジョゼフィヌだった。ある日パオリーナは、青年士官カヌービル(スティーブン・ボイド)を知り、彼の男らしさに心惹かれた。しかし彼がジョゼフィヌと親密なので、無視された怒りと屈辱から帰還した兄に二人の情事を漏らしてしまった。そしてカヌービルは左遷され、パオリーナは兄の副官ルクレルクと結婚した。移り気なパオリーナは、結婚後もいくつかの醜聞を流し、見かねた兄ナポレオンは、彼女を、夫と共に南海の孤島に派遣した。そこでルクレルクは黄熱病にかかり、生涯を終えた。パリに帰ったパオリーナは、ローマの名門ボルケーゼ公と再婚した。しかし醜聞の種は絶えなかった。その頃ナポレオンは皇帝となり、パオリーナは、大佐に昇進したカヌービルと再会した。そして二人は本当に愛し合っていることを知った。ジョゼフィヌと離婚し、オーストリア皇女を妻に迎えたナポレオンは、二人のことを知り、怒ったが事態はそんな私事にかまう余裕がなかった。フランスはロシアに宣戦し、ナポレオンはロシアに攻め入った。そして大敗、カヌービルは戦死した。エルバ島に流されたナポレオンを優しくいたわったのは、生涯を自分の恋のために兄を手こずらせたパオリーナだけだった。