オランダのアムステルダム、一九一〇年ごろ。若い学者ハンス(ピエール・ブリス)は、屋根に巨大な風車をつけた古屋敷の戸を叩いた。この屋敷は著名な彫刻家バール教授(ヴォルフガンク・プライス)の家であった。何度かの訪問の後、ハンスはこの屋敷にあやしい魅力を持った娘エルフィ(シーラ・ガベル)のいるのに気づいた。が、娘は時折姿を見せるだけだった。その夜、ハンスはエルフィと逢いびきをし、彼女の美しさに魅かれていった。ある時、恋の陶酔のさなかに突然エルフィが息たえた。ハンスは愕然とした。そして屋敷を去った。一夜たちハンスが屋敷へ引き返すと、驚いたことに屋敷はいつもの通り静寂だった。だが、エルフィの死は事実なのだ。彼女は墓地の柩の中で永眠していたから……。その夜、地下の一室から引き裂くような女の泣き声を聞いたハンスは、ドアの隙間から部屋の様子をうかがった。中央に猿ぐつわをされた見知らぬ娘が見えた。ハンスが激しくドアを叩いたとき、彼の背後にボーレム博士がいつの間にか立っていた。博士はドアを開けた。部屋には誰もいなかった。数日たった。ハンスを愛しているリゼロッテが失踪した。リゼロッテは屋敷の地下室に捕われていた。エルフィの腐った血の代りに、リゼロッテの新鮮な血を輸血しようと教授と博士は考えていたからだ。そして、今まさに恐ろしい手術が行われようとしていた。その時、ボーレム博士はエルフィを妻にしたいと主張した。が、怒った教授は博士を殺していた。そこへ、ハンスと彼の友人ラープが飛びこみリゼロッテを救った。が、教授が火をつけたため火の手はみるみる広がっていった。そして、教授、エルフィが炎の中に消えて行くのを、三人はじっと凝視していた。