パリの初秋、午後五時頃、金持の息子ミシェル(ロジェ・アナン)は帰宅の途中、小鳥屋に寄りそこで十五年ぶりの級友アントアン(ピエール・モンディ)と妻クリスチーヌ(パスカル・プティ)に再会した。シャトレ街のカフェのテラスで三人は歓談した。アントアンは絵の先生で、この夫婦は経済的に恵まれていなかった。またアントアンは退役軍人会の仲間とともに、政治集会に参加するため一人だけ先に帰った。二人きりになると、ミシェルはクリスチーヌをなんとか誘惑しようとした。彼は洋服の見立てを彼女に頼み、次に夕食に誘った。あとは一夜の情事……。家にいる妻には適当な口実を作って電話した。夕食がすみ、ホテルの前に車を止めた。が、彼女は頑強に拒んだ。やけになったミシェルは彼女を家まで送った。クリスチーヌは彼に寄っていけという。朝の二時、アントアンはまだ帰っていない。彼女は自分をほったらかす夫への不満をうちあけた。ミシェルは偽の置手紙を彼女に書かせて夜の街に出た。束の間の情事は成功。時計はすでに六時を指していた。クリスチーヌはアントアンが嫉妬深く、衝動的な男だといった。ミシェルの不安はつのった。二人は弁解の言葉を考えた。それは--クリスチーヌが帰宅の途中暴漢に襲われ、ミシェルの家に逃げこみ、ミシェル夫婦が一晩中彼女を介抱した--アントアンは二人の言葉を頭から信用しなかった。煙草を吸わぬ彼が、自宅でミシェルの吸殻をみつけたから。アントアンはミシェルを林の中に連れこんだ。対決する二人--アントアンは希望のない夫婦生活を清算して、アルジェリアの外国人部隊に入るといった。驚くミシェルにすべてを許した彼は駅に向った。ミシェルはアントアンに切符や駅弁を買ってやった。汽車は出て行く、アントアンはいつまでも手を振っている。--あわただしい一夜をすごしたミシェルは、身づくろいを直し、鳥篭をさげて家路に急いだ。