貧しい法律学生ルネ(ロベール・オッセン)は、強欲な質屋の老婆を殺した。彼女の存在は社会にとって害毒だと思ったからである。彼の妹ニコル(ウラ・ヤコブソン)は、初老の醜い金持モネスチエ(ベルナール・ブリエ)と婚約し、金をもらって兄の生活を救おうとする。しかし彼は、これを汚れた金だといって受取らず、不慮の死をとげたアルコール中毒者の一家に与えてしまった。そこで、この家の娘で春をひさぐリリイ(マリナ・ヴラディ)を知った。一方警察は老婆殺しの容疑者としてペンキ塗職人アンドレ(ローラン・ルザッフル)を逮捕し、彼は刑事の強引な尋問によって、自分が殺したと自白してしまった。しかし警部のガレ(ジャン・ギャバン)は、ルネを真犯人だとにらみ、彼の良心に訴える。またモネスチエは、ルネの犯罪証拠をつかみ、これを種にニコルとの結婚を承諾させようとするが、ニコルが最後まで兄をかばうので、希望を失い自殺した。リリイはルネに、どんなに逃れても罪の意識からは逃れられない。神にのみすがって自首してくれとすすめる。はじめは自らの正義を主張したルネも、リリイへの愛と次第に大きくなる良心の責苦から、遂に母やリリイと別れて、ガレ警部のもとへ自首して出るのだった。