母のヴァランドオル夫人や妹マルティヌと一緒にアルカションへ避暑に来たジュリエッタ(ダニー・ロバン)は五十をすぎたアルペン公爵に求婚され、つい承諾してしまった。公爵の女友達ロジイ・ファシベエ(ジャンヌ・モロー)はこのことでいささかしょげたが、彼女にはもう一人結婚をしてもいいくらいの恋人がいた。休みも終り、パリへ帰る車中で、ジュリエッタは妹マルティヌに婚約を後悔していると打明けた。前の席に坐っていた若い弁護士アンドレ(ジャン・マレー)は、座席にシガレット・ケイスを置忘れたまま、とある田舎駅で降りていった。ジュリエッタがケイスを渡そうと後を追ううちに、汽車は出てしまった。恐縮したアンドレは彼女の泊るホテルを探したけれどあいにく何処も満員、やむを得ず自分の別荘に泊めることにした。翌朝アンドレに別れて駅まで来たジュリエッタはパリの母へ長距離電話をかけたが話がうまく通じない、ただむこうで大騒ぎしていることがわかり、帰るのがこわくなってもう一晩アンドレのところに泊めて貰おうと決めた。ところが、その夕方アンドレが恋人--というのはほかでもないロジイ・ファシベエを連れて帰って来たのだ。ジュリエッタのことをロジイに話してなかったアンドレはジュリエッタがまだ別荘にいるのを知って大慌て、何とか無事にすまそうとジュリエッタを屋根裏部屋に押しこんだが、事情を知らぬ彼女は扱い方がひどいと大憤慨、一方ロジイは邸の感じが悪いと御気嫌ななめ、アンドレは事なかれと二人の間を奔走して気嫌をとるが、ロジイはすっかりアンドレに失望して邸を出て行った。後にのこったジュリュッタとアンドレは、ようやくともに愛し合うようになっていたことに気付いた次第である。