地中海の孤島、イヌイットが住むような半球型の家にひとり文明から逃避して生活する男ジョルジョ(M・マストロヤンニ)の許に、恋人と喧嘩してヨットを飛びだした美しい女リザ(C・ドヌーブ)が入ってきた。翌朝、リザは昨晩の従順さが嘘のように身を固くして町へ帰っていった。しかし、恋人とのいさかいは何も変っていなかった。リザはつかれたように島へ戻った。リザはこの島でジョルジョと暮すようになった。きまぐれはあいかわらずだったがジョルジョの愛犬メランポを見る眼が今までと違っていた。恋のライバルに投げかける嫉妬がそこにはあった。リザはメランポを海へさそいだすと、沖へと泳がせた。リザはジョルジョにメランポを殺したことを告げ、犬の首輪を自分の首にまくと、彼の足元にうずくまった。ジョルジョは、そんなリザを右に左に走らせ、犬として扱うようになった。彼は、十八世紀のドイツで、美しい牝犬と交わり共に火あぶりの刑に処せられた高僧の伝説を語りながら、自分たちの愛の行方を思った。翌日、不意の訪問者が彼をたじろがせた。妻と共にフランスに残してきた長男が、ママが自殺未遂事件を起こしたことを告げにきたのだ。とりあえず彼はパリへ。妻の回復は意外に早く、ひさしぶりでかこむ食卓。が、所詮は見せかけだけだ。リザが突然現われて、破局は決定的になった。再び、孤島へ。嵐が、文明との唯一の架け橋だったモーター・ボートを流し、長雨と湿気が島中の食物を枯らせてしまう。もう食料はない。ジョルジョは、島におき捨てられているドイツ軍の戦闘機を修理し、ここから離れようとした。何日か後、彼はリザをつれ、住みなれた半球型の家を後にした。やがて、戦闘機が滑走路をすべりだす。だが、爆音は聞こえなかった。