冒険と知識を求めて、ヒッチハイクでパリに着いたドイツ青年スティファン(K・グリュンバーグ)はイカサマ賭博師のチャーリー(M・シャンデルリ)と知り合う。そして、彼に連れていってもらったヒッピー族のパーティーでアメリカ美人エステル(M・ファーマー)と会い、一目で恋をする。彼女は物憂げで、投げやりな言葉使いをし、チャーリーはあんな女と深入りするなと言うが、謎めいた魅力に増々惹かれていった。エステルは地中海の島イビサに渡っていくが、一週間後、スティファンも島に着き、ウォルフ(H・エンゲルマン)の家で彼女と会った。ウォルフは元ナチの将校で、スペインに亡命、今はホテルやレストラン等を経営していた。麻薬を扱っている噂もあった。エステルがウォルフの女ではないかとスティファンは疑るが、結局二人は別荘を借りて住みつく。彼女は行きがけにウォルフの机から金とヘロインを盗んで来る。奔放で夢のような数週間が過ぎた。或る日、エステルの友人キャシー(L・ウィンク)が訪ねてくる。二人は同性愛者であり、キャシーはヘロイン常用者であった。スティファンもヘロイン、LSDの味を覚える。間もなく二人はウォルフに見つかり、盗んだ罰でスティファンはビア・ホールで働かされる。表向きはバーテンだが、麻薬密売の手伝いだったのだ。エステルは麻薬欲しさにウォルフと寝るようになる。二人は麻薬を絶とうとするが徒労であった。或る日、禁断症状になった。エステルは姿を消す。スティファンは探し廻るが、麻薬の禁断症状が彼にもあらわれ、売人から買った麻薬を、致死量以上に注射してしまう。「悲劇を伴わない快楽なんて、どこにあるか!」彼は、イビサで死んだ。