十八世紀、オーストリアのある街。いま、そこの広場では、民衆の騒ぎをよそに、魔女狩人のアルビノ(R・ナルダー)臨席のもとに、惨虐な刑が執行されていた。冷酷な笑みを浮かべてこの光景をながめるアルビノ。怒りをもってみつめる居酒屋の女バネッサ(O・ヴッコ)。その日、街に二人の執政官、クリスチャン(U・キアー)とジェフ(H・フックス)が到着。一方、バネッサへの情欲をついにおさえきれなくなったアルビノは、その夜、彼女に襲いかかった。そこへ、クリスチャンたちが現われ、彼女の危機を救い、やがて二人の間には愛が通った。しかし、何故かクリスチャンは、彼女の求愛を受け入れることが出来なかった。傷心の彼女が街へ帰る途中、またもアルビノにつかまり、カンバーランド伯爵(H・ロム)のもとへ、魔女としてつき出されてしまった。クリスチャンはそれをただ黙って見ていた。伯爵は城の最高権威者であり、禁欲至上主義者であった。城内ではいまも若い男爵と若い女が、全裸で残酷な刑を受けていた。また、街ではアルビノが妖しい衝動に駆られるままに、愛しあう恋人たちを狂牙の犠牲にしていた。その行状にさすがの伯爵もたまりかね、叱責したが、アルビノが伯爵の不能を口にし、反抗したため、彼を絞殺してしまった。この場を目撃したクリスチャンは、失望し、自分の卑劣さを悟り、バネッサを助け出した。しかし、若い男爵を救い出す途中、伯爵にみつかり、クリスチャンは捕ってしまった。獄中では、なおも残虐な行為が続き、若い女の舌は、無残にも根もとから抜かれてしまった。ようやく、街に逃げ戻ったバネッサは、民衆に城中の残虐の実体を訴え、彼等を煽動した。暴徒と化した民衆は城へなだれ込んだ。しかし、伯爵はすでに逃亡していた。バネッサは愛するクリスチャンを求めて狂ったように走り廻ったが、彼は民衆の怒りの生贄となっていた。