現代のアフリカ・カメルーンを訪ねたフランス(ミレーユ・ペリエ)は、偶然出会った黒人の親子の車の中で、自らの幼い頃の体験を心静かに回想するのだった。--50年代末期、カメルーンのフランス統治の小さな行政区に、マルク・ダランス(フランソワ・クリュゼ)は妻エメ(ジュリア・ボスキ)と娘フランス(セシル・デュカス)を伴って赴任した。彼らは黒人達の住むこの田舎町の唯一の白人家族で、マルクが監督区を巡回するためにしばしば家を留守にすることにより、残されたエメとフランスはそれぞれの時間を周りの黒人達の中で過ごしてゆくことになる。そのうちフランスは、使用人の黒人青年プロテ(イザアック・ド・バンコレ)と奇妙な友情で結ばれるようになり、一方エメは家事にいそしむことで夫を待つ辛さを紛らわす。そして庭園の世話に情熱を注ぐ彼女の生活の僅かな刺激は、時おり訪れる白人客とのディナーやダンスであった。そんなある日、進路を見失った一機の飛行機がこの村に緊急着陸した。マルクは行政官として見知らぬ乗組員たちを家に迎え入れるが、この数人の白人の到来は、ダランス一家と黒人たちの静かな沈黙の信頼をかき乱すようになる。そしてエメとプロテは内在する心のざわめきに気づきつつ、フランスは独り大人たちに取り残された観察者となる。やがて飛行機は修復され、空へと消えて行き、ダランス家にも元の平穏な日々が戻ってきたかのように見えた。しかし内面に潜む混乱が、それぞれの分別によって隠されているのである。