東の空が赤く染まり、やがて朝日が1日の始まりを告げようとしている中、人類史上初の有人火星宇宙船カプリコン・1の打ち上げが目前に迫っていた。カプリコン・1には、ブルーベーカー(ジェームズ・ブローリン)、ウィリス(サム・ウォーターストン)、そしてウォーカー(O・J・シンプソン)らが乗り組んでいる。発射5分前、突然カプリコン・1のハッチが開き、1人の男が乗組員3人を船外に連れ出し、ヒューストンより3人をジェット機で連れ去った。そして5分後、カプリコン・1は、人々の見守る中、有人宇宙船の名の下に火星へ向かって飛び立つ。一方、3人を乗せたジェット機は砂漠にある格納庫のわきに着陸した。そしてそこには、NASAのケラウェイ所長(H・ホルブルック)がいた。驚く3人に向かって、彼はカプリコン・1の生命維持装置に故障が発見されたが、我国の議会や世論を今一度宇宙計画へ目を向けさせるには、今さら計画の中止は出来なかった、という事実を告げる。そして3人は、もしさからえば家族の安全は保証出来ないという脅迫の中、格納庫にある火星表面のセット・ステージで世紀の大芝居を決行する。そしてそれが宇宙中継の形で、全世界にTV放送された。よろこぶブルーベーカーの妻(ブレンダ・ヴァッカロ)達。だが、家族と3人の宇宙飛行士との交信の内容に疑問を持ち出した男が1人いた。新聞記者のコールフィールド(エリオット・グールド)だ。何かがある、と探る彼。そんな彼に忍びよるNASAの魔の手--。しかし、無事、“火星着陸”をやってのけたカプリコン・1が、大気圏再突入の際、事故で消滅するという事態が発生--。これに感づいたブルーベーカーら3人は、消滅(=3人の死)に身の危険を感じ、格納庫より脱出する。そして3人を生かしておいては、と、NASAの刺客が放たれた。三方に分れて砂漠を逃亡する3人、そして事件の核心にふれ、友人のジュディ(カレン・ブラック)に金を借り、この世紀のスキャンダルをスクープしようとするコールフィールド。灼熱の砂漠の中、NASAのヘリは、ウィリスを、ウォーカーを発見し、ブルーベーカーにも魔の手はのびた。と、その時、アルバイン(テリー・サヴァラス)の複葉機をチャーターしたコールフィールドが、追われるブルーベーカーを助ける。追うNASAのジェット・ヘリ。逃げる複葉機。やがて、追撃戦の末、ヘリは爆破した--。そして、今、大統領臨席の下、3人の宇宙飛行士の壮厳な葬儀が始まったその時、ブルーベーカー夫人の瞳に、車からおり、こちらにかけてくる死んだはずの夫の元気な姿が映った--。