第1部呪い/ルトヴィッヒ2世(ハリー・ベア)は、大きな変革が行なわれようとしている世紀の時代に、19歳でバイエルンの国王として即位する。プロレタリアートが台頭し、国王には何の機会も与えられない。幼年時、父の側室ローラ(イングリッド・カーフェン)に呪いをかけられたルトヴィッヒ2世は、王位についた後も、政治を嫌い、夢の世界にひたる。「余の好きなものは、山々、森の空気、馬、ヴァーグナー、エドガー・アラン・ポー、そして神秘なる夜……」。そんな彼は、精神病発作のため治療を受けている弟オットー(ジギー・グラウエ)を見舞い、直観的に自分の終末を語るのであった。 第2部かつて我ありき/未来を予見させるような悪夢。マリー・アントワネットとルイ14世が語り合い、ヒットラーと突撃隊長がヴァーグナーの曲にのって踊り、バイエルンの国がビスマルク帝国に併合されるまでの政治劇が悪夢として展開される。この夢に続き、さまざまな人物達が、ルトヴィッヒ2世と帝国の思い出を語る。例えば、1人の農婦アンナ(リースル・ハラー)、歌手のブリオスキー(アースラ・シュトレーツ)など……。ルトヴィッヒは死んでしまったのか? 彼は民衆の幻想のなかで、ワーグナーの劇の主人公の如く、胸に短剣を突き刺して愛の死を遂げる。この狂人あつかいで水死したルトヴィッヒ、彼の死は他殺か、自殺なのか不明である。