パリのとある精神病院の一室。元映画監督のジャン・リュック・ゴダール氏(本人)は、すでに異常なしと診断されているが、病院を出たがらない。そこに姪のカルメン(マルーシュカ・デートメルス)が見舞いにやって来た。実は、仲間たちと映画を撮るので空家になっているジャン伯父さんの海辺のアパートを撮影現場に使わせて欲しいという頼み事が目的だった。弦楽四重奏団の一員クレール(ミリアム・ルーセル)は、兄の友人ジョセフ(ジャック・ボナフェ)という憲兵隊員に惹かれていた。そのジョセフが警備している銀行に、強盗一味が押し入った。カルメンとその仲間だ。犯行の後にジャン伯父さんの空家に逃げこむというのが彼らの計画だった。お互いに銃を携えてカルメンとジョセフが向かい合った。二人は揉み合ううちに心が通じ合い、恋に陥ってしまった。ジョセフはカルメンに伴ってパリを脱出、ジャン伯父さんのアパートに向かった。翌朝、そのアパートで二人は愛を交わした。しかし、ジョセフは追って来た警察に捕まり、パリで裁判にかけられてしまう。クレールの父のおかげで保釈されたジョセフは、カルメンのいるインター・コンチネンタル・ホテルに行くが、カルメンの愛は、すっかりさめていた。一味のボスのフレッド(クリストフ・オダン)も、ジョセフが仲間に加わることに反対だ。次の計画は、映画撮影をするという口実で、某実業家か、その娘を誘拐するというものだ。計画実行の時がきた。撮影現場となるホテルのサロンでは、クレールら四重奏団が演奏している。そこへ出演を承諾していたゴダール氏が登場。カルメンは、目的とする実業家のテーブルヘ向かう。彼女を追ってジョセフもサロンへ。ゴダール氏が突如撮影を投げ出す。一人の気違い女が登場。実業家の娘を人質に逃げようとするカルメンにジョセフが追いすがる。警官の発する銃弾。倒れるカルメン、ボーイに尋ねる。「あれは何と呼ぶの?」「それは暁と呼ぶ」……。