大学で理科系の学業を終えたヴィトルト(タデウシュ・ブラデッキ)は卒業と同時に軍隊に入り、短期教育を受けたのち、電気技術者として就職した。彼の母(ゾフィア・ムロゾフスカ)は薬剤師。父は若いころ山で命を落した。父の影響かヴィトルトは仕事とは別にヒマラヤに登ることを生きる目的としていた。彼は常に純粋に生きようとしていた。しかし、社会はそう甘くはない。彼の勤める電気会社も母が病気で入院した病院の人々も皆、彼には非人間的に映った。そして彼のそばには、いつも死があった。父の遭難、祖父の戦死、そしてガンだった母が死んでゆき、インドでは、若い娘が火葬されるのを目撃する。そんな彼もグラジーナ(マウゴジャータ・ザヨンシコフスカ)という若い娘を知り、平和な生活を迎えようとするが、それもつかの間。ヒマラヤ行きを夢みながらビルの取りこわし作業に精を出していた彼は、ボール遊びをしていた子供を助けようとして転落するのだった。