1965年に凶弾に倒れた、伝説的黒人解放運動指導者マルコムXの一生を描く伝記ドラマ。「ルーツ」の作者として有名なアレックス・ヘイリーがまとめた『マルコムX自伝』の映画化権を67年に入手した製作のマーヴィン・ワースが、25年に渡り映画化を画策し、シドニー・ルメット、ノーマン・ジェイソンらが次々と試みたが実現に至らなかった幻の企画。91年に「ジャングル・フィーバー」の監督スパイク・リーが、ピューリッツァー賞作家ジェームズ・ボールドウィンの手を経て、アーノルド・パールが書き上げた脚本のリライト作業に着手し、製作が実現した。製作者としてもスタッフに加わったリーは、自らのギャラも製作費に投入し、神話化され、その真実の姿と思想を正しく理解されていない偉人の、生涯のドラマを完成させた。撮影は「ドゥ・ザ・ライト・シング」のアーネスト・ディッカーソン、音楽はテレンス・ブランチャードが担当。主演は「ミシシッピー・マサラ」のデンゼル・ワンシントン。FBIの記録を読むなど、マルコムに対する綿密なリサーチを行い、役作りをしたという。