20世紀初頭、オスマン帝国(現:トルコ)によるアルメニア人への迫害から逃れるために、幼少の身でアメリカに渡ったチャーリーは、1948年、自身のルーツを知ろうと祖国アルメニアに戻る。ソビエト連邦の統治下であっても、理想の故郷と思えたからだ。だが、故郷での新生活に期待を膨らませていた彼は、食料を求める長蛇の列、劣悪な生活環境、そしてソ連による統治の重圧に直面する。どうにか生きる道を探っていたある日、彼は不当に逮捕され、収監されてしまう。悲嘆に暮れながらも、牢獄の小窓から近くのアパートの部屋が見えることに気づき、そこに暮らす夫婦を観察することが彼の日課となる。いつしかチャーリーは、夫婦の生活に合わせ、あたかも同じ空間にいるかのように一緒に食事をし、歌を歌い、会話を楽しむようになっていた。ところがある日、夫婦仲がこじれ、部屋には夫だけが残される。時を同じくして、チャーリーのシベリア行きが決まる。移送の期限が迫るなか、チャーリーによる夫婦仲直り作戦が始まる……。