ウィリアム・スペンスは医者になるつもりで、勉強していたが、ある日説教をきいてすっかり感動した。彼は生命を救うならば永遠の命を救うのが己の天職だと思い込んで医学を捨てて牧師となった。許嫁のホープをカナダから連れて来て、アメリカ中西部のアイオワの田舎町の一教会を受け持った。そこは泥沼のように苦しかった。しかし彼は信徒のためには熱心だったので、うけはよかった。その変わりに家庭では彼は暴君であったが、妻のホープは苦しいうちにも家計を立て娘一人と息子二人が生まれた。子供三人を抱えての貧乏牧師の家庭はなお苦しかったが、神の道を伝えるという仕事に心の慰めはあった。しかし年を経てむくわれる日がきてスペンスは立派な教会を建て、生活も楽になったけれどもそれもしばらくの間で、近くに立って行かない教会があると聞くと、その教会を立派なものにしてやりたくなって、また苦しい生活を覚悟の上で、スペンスはホープと共に引っ越しをしていくのであった。