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「渾身 KON‐SHIN」公開記念特集
 
 9月に開催された第36回モントリオール世界映画祭で、フォーカス・オン・ワールドシネマ部門に正式招待され、世界からも大きな賞賛を浴びた「渾身」。
 2013 112日の全国公開(15日の島根・鳥取先行公開)を控え、KINENOTEでは1215日に行われた特別試写会の模様を踏まえ、作品の魅力をお伝えしていきます!

  

❐ 「渾身」
 いにしえから色濃く残る、日本の原風景と日本人の心。今もなお息づく日本の伝統・文化の息吹、そこに生きる人々を、 映画を通じて伝えたい。そんな想いを胸に、錦織良成監督が十年来注目して いたのが【隠岐古典相撲】。島根を舞台に「白い船」(02)、「うん、何?」(08) RAILWAYS 49歳で電車の運転手になった男の物語」(10)を世に送りだし、そして様々な人たちとの出会いを経て、ついに川上建一の同名小説 (集英社文庫刊)と出会う。隠岐島の豊かな大自然を背景に、日本人も知らない相撲の伝統や様式美、 そして島に暮らす人々の強さと心の温かさを、まさに渾身!の想いで描き出した作品です。

公式サイト
http://kon-shin.jp/

公式Facebookページ 

https://www.facebook.com/konshin.movie 


作品情報

http://www.kinenote.com/main/s/?cinema_id=70054 




❐ 特別試写会レポート


「渾身」特別試写会の際、作品上映後、錦織良成監督ご本人によるティーチインが開かれました。映画作りへの情熱から、モントリオール国際映画祭での歓迎と賞賛についてや出演者へのコメントまで、普段なかなか聞くことのできない話を幅広く語っていただきました。

KINENOTEユーザーの方も多数参加された今回、映画通の方が多く駆けつけた会場には、他の試写会にはない濃密で深い時間が流れていたのがとても新鮮でした。そんな熱気の中、ティーチインの最後にはQ&Aの時間が設けられ、監督自ら、観客からの質問に答えていただきました。ここでは、そのやりとりの一部をご紹介したいと思います。



Q1 絆が作品のテーマだと思いますが、監督にとっての「日本の絆」とはどのようなものか教えてください。


A1 今、僕も含め、多くの方が都会病にかかっていると思ったんです。島は、病院、就職、給料、服など、都会との違いは多いです。マスコミ関係者の中には「地域活性化の映画ですね」と言う方もいる。それはね、都会からの目線です。それこそ都会病です。島の方たちは楽しんで生きています。全部の人がそうではないかもしれませんが多くの人たちが島を誇りに思い、じいちゃんや親父を尊敬し、コンビニがないことを憂うことなく、相撲が出来ることに満足しています。だから、給料が少なくても、島で相撲を取る。少なくとも活性化の為に、ではない。僕は打ちのめされました。18のときに「田舎には何もない」と思って都会へ出たクチなので、彼らとは真逆です。「渾身」が、今つくらなければならない最先端の映画じゃないかと思ったのには、そうした背景があります。島の方は声高に「絆」などとは言いません。なぜなら、元々自然にあるから。また外国には、勝った人が負けた人をおもんばかるなんていう発想はまったくないようです。「一勝一敗」や「負けて勝つ」なんていうのは、日本だけです。弱い人も強い人も一緒にいることができる地域をつくることが「真の絆につながっていくんだ、と島のみんなから教えられました。



Q2 琴代ちゃん役の子役さん(井上華月)の演技は非常に自然に見えるんですが、演出はされているんですか?


A2 もちろんです。NGなしで、台詞どおりにしゃべっています。才能がすごくある女の子です。テストの時に泣きが違ったことが一回あったので、「もう少し、こんな感じで泣いてほしいな」って言いました。そうしたら、みんなに聞こえないように耳打ちしてですね、「監督さん、今はテストだから。本番はちゃんと泣きますから」と言われました(笑)。それで本番ではバッチリ。ベテランの俳優さんたちがみんな「まずい、自分が噛んでNG出すと負けちゃうぞ」と言っていましたね(笑)。青柳(翔)さんと同じく彼女もオーディション起用だったんですけど、才能に出会いたいという、こちらの想いが通じたと思いました。



Q3 ラストの相撲のシーンは、出演者が多く、夜のシーンから朝のシーンまであるので、撮影に相当時間がかかっているなと思ったのですが、いかがでしょうか?


A3 さすが映画ファンの方は質問がすごいですね(笑)。ラストシーンは撮影に10日間かかっています。中村嘉葎雄さんは、台詞はなくても、10日間ずっとあそこに塩を抱えて座ってくれました。プロの俳優だと改めて尊敬します。俳優陣のほか、何十名かのエキストラ・レギュラーをつくり、土俵周りにはいつも同じ方がいるようにしました。島の方たちの大協力により、4千人以上のエキストラが集まりました。みなさんには「毎日同じ服を着て来てください」とお願いし、間に洗濯日を設けました。ときどき赤いジャンパーを着て来た人がいたりして、ほかのジャンパー着せられたりしていましたけど。行司と呼出、相撲を取っている若者たちは全部地元の方です。みなさん撮影を心から楽しんでくれました。撮影が長時間続き、35㎜カメラが3台もあるのでフィルムチェンジも多いし、テストも何回もやっているにもかかわらず、本番の際には、疲れもみせずしかも(その場面を)はじめて見るような興奮状態で演じていただきました。島の方たちのパワーと愛情を感じました。



Q4 島根に対する愛情が伝わってくる作品でした。島根で有名なFROGMANさんがエンドロールに載っていましたが、どこに出演されていましたか?


A4  FROGMANは野次を飛ばしているだけなんです(笑)。FROGMANはもともと「白い船」のスタッフなんです。彼は僕の現場で地元の方と触れあううち島根が気に入り、そのうち島根でコツコツ作ったフラッシュアニメでブレイクしました。ブレイクネタも知られざる島根ネタでしたね。その後地元の方と結婚、在住となりました。おそらく今後、「渾身」のFacebookに、彼が何か出してくるるのでは、と思います。ちなみに、「RAILWAYS」公開時にTOHOシネマズのマナー広告が鷹の爪団バージョンだったのも、彼が応援してくれたからというわけなんです。



 ひとつひとつの質問に対し、監督が、ユーモアを交えつつ真剣にお答えいただいている様子が印象的でした。

 隠岐諸島に伝わる古典相撲を通し、日本の原風景や日本人の心を表現する「渾身」。みなさんも本作を観に、劇場へ足を運んでみてはいかがでしょうか。




❐ KINENOTEユーザーレビュー


 試写会に参加して頂いたユーザーのレビュー幾つかご紹介させていただきたいと思います。その他にもたくさんユーザーの方にレビューを書いていただきましたので、是非作品詳細をごらんください。



「メッセージを読み解くと。」

戦後、60年以上経過した。日本は高度成長して、大きな復興を成し遂げた。それと同時に日本人は豊かで大きな自由を手に入れようとした。その自由は地域社会の束縛からの自由でもあり、家族からの自由でもあった。わずらわしいものからの解放である。むろんそれは日本人が自ら望み選択した道だった。しかし、その結果、地域社会は崩壊し、家族は核家族化し分離してきた。便利さや豊かさを手にした瞬間、自由を手に入れた瞬間、それは本当の幸せにたどり着いたといえるのだろうか。絆で結ばれた地域のコミュニティが失われていいのか、家族がばらばらでいいのか・・・。
もしも、人が他人を思いやり、助け合う地域、その昔ながらの地域社会がもしも今も存在していたとしたら・・・、その地域社会が未来に向けて強靭な力で歴史と伝統を守り続ける努力をしているとしたら・・・その地域社会で分断された家族が今また再生し、めぐり合うことができるとすれば・・・。
隠岐を舞台にして、このふれあいの地域社会の中で家族の心が呼び合って再生の物語が紡ぎだされる。
きわめて意図的に、確信をもって、地域と家族の未来に向けたメッセージを発信していく。したがって、これはメッセージ映画でもあり、夢を見ているかのようなファンタジー映画でもある。
泣かせどころは、少女の無邪気なしぐさや素直な感情だけではなく、この隠岐の人々の姿に、過去の日本人・すでにもう世を去ったおやじたちの世代を見ていることもある。私たちが時間をかけて失ったものの大きさに改めて感じるとともに、故郷を捨てて幸せをつかむしかなかった現代を生きる人生のやるせなさも胸に去来する。
20年ごとに催される相撲大会。その祭り空間に向って、人々の感情が交錯していく。地域の中で生きている喜びや地域の中で信頼関係を築くことの大切さをみんな感じており、土俵に力士にあらん限りの声援とたくさんの塩を振りまくことで感情を爆発させる村人たち。
3.11後、絆や思いやりなどの言葉があふれたり、さまざまな芸術表現やメッセージが発信されている。未来に向って日本人がどう生きていくのかを深く思索する人にとって、とても魅力的な作品になっている。錦織監督の真摯な製作姿勢と物語を語る能力の高さは安心してみていられる。

「映画が大切にするもの」
映画『渾身』

隠岐の古典相撲を舞台に、地元の人々と家族の絆が描かれていました。
日本人が古来より大切にしていた、形がないモノ、目に見えないモノ。
現代社会の真っ只中、都市部に暮らす僕らには、見失った美しさが、そこに、映っていたような気がします。

まったく私事ですが。
最近では、映画の仕事に加え、テレビの仕事に従事するようになりました。
「映画」と「テレビ」の違いは何なのか。
劇場や茶の間での観客・視聴者としてだけでなく、制作者として体感し、思いを日々巡らせています。

映画の現場では、キャメラの目前にある形あるモノ、それ以上の何か目に見えないものを撮っている。
そんな感覚がよくあります。
演じる役柄の気持ちだったり、美術の細部に宿る生活だったり。

まさに、この『渾身』が描こうとした大切なモノは、そのまま「映画」自体が大切にしようとしてること、そう見えました。

「知らなかった日本の心の原点!」

地球上の他のどこでもない、ここ日本に生まれたこと、そして自分のそばにある真の豊かさ、幸せとは?
美しい隠岐と古典相撲の映像は、ドキュメンタリーのようでもある。事実、多くの人が知らない貴重な記録でもあるが、ただ守るだけの伝統ではなく、日常の生活、精神、価値観に根づいた形で伝統が残っていることに驚く。それは、そこに住む人が当たり前のようにその土地を愛する気持ちが原点にあるような気がする。豊かな島があり、人々が集い、ともに幸せになる知恵があり、それを伝える繋がりがある。そこで描かれた、ひとつの家族の愛が少しずつ広がるストーリーに胸が熱くなった。
忘れていた日本の心(良さ)を実感した。知らない日本を旅して幸せになった気分だ。

 隠岐島の美しい風景の中で語られる家族の絆の物語
 アマチュア相撲の映画といえば周防監督の『シコふんじゃった』を真っ先に思い出すが、これは隠岐島の美しい風景の中で語られる家族の物語である。20年に一度行われるという、島に伝わる古典相撲の大会に出場する青年とその一人娘、そして亡き親友の夫であった彼と今は一緒に暮らす島育ちの娘。島での暮らしと大会への挑戦を通じて、この3人が本当の家族になっていく絆の物語でもある。

 圧倒的に美しい島と海の風景はしかし、ここではあえて強調されることはない。強く語られるのは、島の人々の温かい心根と、島の伝統である古典相撲への熱い思いである。だからここには悪役が一人として登場しない。主人公の対戦相手となる島一番の強敵にしてさえ、微妙な事情を抱えて勝負に挑んでいることがさりげなく描かれるのだ。この映画が心地よいのは、こうした登場人物一人一人の背景が丁寧に描きこまれているからだろう。あと先になるが、本作の第一印象は、実に丁寧に、大切な何かを慈しむように作られているという感触なのである。

 強いて諫言を呈するなら、主人公の青年が島相撲の正大関に選ばれる経緯がやや説得力に欠けるのと、映画が少し長すぎる点だろう。『東西、東西・・』の掛け声は一度でいいし、やや説明調なところもいらないと思う。そして子役で泣かせるのは常套手段とはいえ反則です。筆者もしっかり泣かせてもらいました。大好きなお姉ちゃんを『お母ちゃん』と呼べない少女がいつ彼女を『お母ちゃん』と呼べるのか。この物語の最大の眼目だが、これもまたさりげなく描き抜いたこの映画、私は好きである。