男性      女性

※各情報を公開しているユーザーの方のみ検索可能です。

ザ・シネマで放送する激レア映画6本を、映画評論家の松崎健夫が語る!

映画評論家 松崎健夫氏

「マジック・クリスチャン」COPYRIGHT © 2016 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

  • 作品ページへ

本作の脚本追加クレジットに注目すると、ある人物たちの名前が記されていることに気付く。ひとりはジョン・クリーズ、もうひとりはグラハム・チャップマン。本作がイギリスで公開された69年に放送開始となったテレビ番組『空飛ぶモンティ・パイソン』のメンバーである(番組は10月放送開始、本作は12月公開なのだが、製作順としては本作が先)。さらに、共同脚本家のひとりであるテリー・サザーンは、のちに『サタデー・ナイト・ライブ』の作家となる人物。富豪による無駄遣いを描いた本作では、「ロミオとジュリエット」(54)のローレンス・ハーヴェイにストリップをするハムレットを演じさせ、「王様と私」(56)のユル・ブリンナーに女装で歌わせるなど、役者の無駄遣いともいうべき悪ノリの限りを尽くしているが、そこに米英人気番組の源泉を見出せるに違いない。また、主題歌『カム・アンド・ゲット・イット』はポール・マッカートニーによる楽曲。この頃ビートルズは既に空中分解状態にあったが、本作が公開された翌年4月、正式に解散。そんな時期に製作された作品であると思いながらリンゴ・スターの姿を見ると、どこか感慨深いものがある。

シネマSTAFF談
  • 飯森盛良
    飯森盛良
  • 私は、60年代後半にものすごく憧れてハマってた時代が大学生時代にありまして、片っ端からそういう時代の空気を嗅ぎ取れるようなカウンターカルチャーな映画を見あさっていたんです。その中でもこの作品は、脚本にモンティ・パイソンの連中も絡んでるということで、すご~くイギリス臭いブラックユーモアが、熱すぎず、人を小ばかにしたような感じで、なんだかすごく好きなんですよ!

トップへ戻る

「ビザと美徳」©1997 Cedar Grove Productions.

  • 作品ページへ

監督のクリス・タシマは日系三世。俳優でもある彼は、本作で杉原千畝役も演じている。本作はもともとハリウッドの劇場で4週間だけ上演された短い舞台劇だった。その舞台を観たクリスが、演出家から「短編映画にしてはどうか?」とアイディアをもらい、自らプロデューサーも兼ねて製作したという経緯がある。結果、アカデミー賞では短編実写映画賞を受賞。撮影監督のヒロ・ナリタは「ミクロキッズ」(89)や「ロケッティア」(91)等のハリウッド大作で撮影を手掛けてきた人物だが、本作には監督の意図により日系人の制作スタッフが多く起用されている点も特徴のひとつ。公開当時、杉原は“日本のシンドラー”と呼ばれたが、それは1993年に公開された「シンドラーのリスト」に依るところが大きい。アカデミー作品賞を受賞し、日本でもヒットした「シンドラーのリスト」によって杉原の功績が再評価され、テレビ番組などで取り上げられるようになったからである。残念ながら杉原自身は不遇の人生を送り、再評価されたことを知らないまま86年に亡くなっている。日本政府による公式の名誉回復が成されたのは、2000年になってからであった。

シネマSTAFF談
  • うず潮
    うず潮
  • 本作は、日本の「シンドラーのリスト」と言われた、外交官「杉原千畝(すぎはらちうね)」の感動の実話を映画化したものなんですけど、その彼が約6千人のユダヤ人を救ったということがこの映画をきっかけに日本人の方に再発見されたという形で、まぁ、かなり日本人として誇りに思わせてくれるようなそんな作品となっています。ぜひご覧いただきたい一本です。

トップへ戻る

「愛すれど心さびしく」TM & © Warner Bros. Entertainment Inc.

  • 作品ページへ

少女ミックを演じているソンドラ・ロックは、映画ファンにとって「ガントレット」(77)や「ダーティハリー4」(83)など多くの作品で共演した“クリント・イーストウッドの元恋人”という印象が強い。婚姻関係がなかったにも関らず多額の慰謝料訴訟を起こして、世間からは“悪女”のイメージがつきまとったが、本作は彼女の映画デビュー作。撮影当時二十歳だった彼女は、本作でいきなりアカデミー助演女優賞候補となり注目を集めた。アラン・アーキン演じる主人公が聾唖者であるため、この映画には台詞の応酬があまりない。そのため映画全体に静寂さが漂っている。それは、映画がもともとサイレント(無声映画)として始まったことに倣っているようで、撮影監督のジェームズ・ウォン・ハウがサイレント時代から活躍している人物であることにも起因しているように思える。本作に描かれている<孤独>や<偏見>は、鬱や身体の麻痺、不幸な結婚に悩まされた原作者カーソン・マッカラーズ本人の人生を想起させる。また、彼女は同性愛者であったともいわれており、黒人たちの姿や少女の成長譚の向こう側に、当時は直接描くことが出来なかったセクシュアリティの問題が見え隠れするのである。

シネマSTAFF談
  • にしに
    にしに
  • この作品は、子供の頃に兄に薦められて見たんです。当時は、細かいディテールは理解していなかったんですけど、今回見直す機会を得て、たくさん新しい発見もあった中、やっぱり子供の頃見たときの、登場人物の圧倒的な孤独感…みたいなものを思い起こすことができました。今見ようと思ってもなかなか手に入らないこの作品。見る人それぞれの心に突き刺さる「寂しさ」というのを感じていただけると思います。

トップへ戻る

「ラスト・ウェディング」©2016 by Silver Turtle Films. All rights reserved.

  • 作品ページへ

イギリスからやって来たという設定のルイーズを演じたナオミ・ワッツは、役同様にイギリス生まれ。オーストラリアへ移住し、地元で演技のキャリアが始まったという経緯がある。その後ハリウッドへ活動の拠点を移すも挫折し、オーストラリアへ戻って出演したのが本作だった。ブレイク前の姿は本作の魅力のひとつだが、この5年後「マルホランド・ドライブ」(01)で一躍注目を浴びることとなる。また、「戦場のメリークリスマス」(83)で主要キャストのひとりを演じたジャック・トンプソン、ヒロインのエマを演じたジャクリーン・マッケンジーは共にオーストラリア出身。日本では主演作「エンジェル・ベイビー」(95)が当時公開済みだったジャクリーンも、のちにドラマ『4400 未知からの生還者』のダイアナ役で世界的に知られるようになる。ロットネスト島で撮影された美しい風景が特徴でもある本作。監督・脚本を手掛けたグレーム・ラディガンの本職は弁護士で、これが唯一の監督作。映画について素人同然の彼を突き動かしたのは、この物語が実話を基にしているという点。愛の力に突き動かされる人々の姿を描きたかったという監督の熱意が、物語の設定と呼応している点も興味深いのである。

シネマSTAFF談
  • 飯森盛良
    飯森盛良
  • はっきり言ってこれが私の生涯ベストの映画ですね。まあ、話の内容としてはすっごいベタなストーリーなんですけれども、何が素晴らしいってこの風景のあまりの美しさ。海が舞台なんで、島が舞台なんですけど、あまりにもこれに魅了されて私は今海の目の前に住んでいると。ライフスタイルを決めるほどの影響を受けた、もうまさに生涯ベストの一本がこの映画です。

トップへ戻る

「テイル・オブ・ワンダー」©Mosfilm Cinema Concern

  • 作品ページへ

ソビエトのモスフィルム・スタジオが中心となって製作された本作。ロシア映画には<SFファンタジー>というジャンルの系譜があり、ロシア文学の世界では<ファンタスチカ>と呼ばれている。「テイル・オブ・ワンダー」が日本公開された89年、「不思議惑星キン・ザ・ザ」(86)や「火を噴く惑星」(62)といった、今ではカルト的な人気を誇る作品群が立て続けに日本で初公開され、隠れたブームとなっていた。監督のアレクサンドル・ミッタは、栗原小巻主演の「モスクワわが愛」(74)や「未来への伝言」(90)を手掛けたことでも知られる人物。また、本作の音楽を担当したアルフレード・シュニトケは、ソビエトを代表する作曲家。彼はショスタコーヴィッチやストラヴィンスキーの影響を受けて、実験音楽や前衛音楽を手掛けるようになるのだが、生活のために映画音楽を作曲していたといわれている。アレクサンドル・ミッタ監督とは「エア・パニック 地震空港大脱出」(80)でも組んでいるが、シュニトケは生涯60本前後の映画音楽を残している。彼の作曲した『タンゴ』は、のちに浅田真央選手が世界選手権のショートプログラムで使用したことで、日本でも広く知られるようになった。

シネマSTAFF談
  • 飯森盛良
    飯森盛良
  • 大学の頃にロシア 東欧を勉強してたんですけれども、これロシア映画なんですけどね。まあこんなにド直球のエンタテインメントでこんなに面白いのをロシア、昔のソビエト映画ってのは作れたんだっていうぐらいに正攻法に面白いんですよね。ファンタジーなんですけれども、まあその誘拐された弟を探して各地を訪問するお姉ちゃんのお話なんですが、最後にはあっと驚くようなどんでん返しがあって、ストーリーも巧み、音楽も素晴らしい、そして映像も美しいと。文句なしの娯楽超大作です。

トップへ戻る

「暗い日曜日」LICENSED BY Global Screen GmbH 2016, ALL RIGHTS RESERVED

  • 作品ページへ

1933年にハンガリーで発表された『暗い日曜日』は、ヤーヴォル・ラースロー作詞、シェレッシュ・レジェー作曲による楽曲。この曲を聴いた人が次々と自殺するという噂が広まり、国によっては放送禁止にしたことが都市伝説化する由縁となった。この歌は日本でも榎本健一や淡谷のり子により<シャンソン>としてカバーされてきたという経緯がある。浦沢直樹の漫画『パイナップルARMY』では、戦場で散った若き傭兵仲間を描いた「暗い日曜日」というエピソードがあり(現在入手可能な文庫版6巻に収録)、ブレイク前のAKB48のメンバーが出演した『伝染歌』(07)は、この都市伝説に着想を得たともいわれている。また、ラジオの深夜番組や都市伝説を扱ったテレビ番組で定期的に話題となっていたことから、特に日本での知名度が高いとされている。しかし本作は“呪いの歌”をテーマにしたホラー映画などではなく、ふたりの男とひとり女による切ないラブストーリーになっている。鍵となるのは、舞台がナチス台頭のヨーロッパである点。やがて多くの命が奪われてゆくこととなる時代の前夜を描いた本作は、ある意味で『暗い日曜日』という歌が死を導いてゆくメカニズムを解き明かしてみせているのである。

シネマSTAFF談
  • 飯森盛良
    飯森盛良
  • 暗い日曜日。これは昔ちょっと仲が良くて、今、疎遠になっちゃった友人から勧められて見た映画なんですけれども、何て言うんですかね、ヨーロッパのリベラリズムというか、ヨーロッパのコスモポリタニズムみたいなものを体現する主人公が出てきて、その方がナチスによって、迫害を受けると、ユダヤ人で。何かそのヨーロッパの持っている理想みたいなものがとても格調高く描かれていて、本当に僕の趣味にどんぴしゃだったんですよね。これを見るといつもその勧めてくれた友人の事を思い出さずにはいられません。

トップへ戻る