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テルマ&ルイーズ
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女性二人のドライブ、レイプ犯の男を射殺したことから始まる逃避行の顛末を描く。 リドリー・スコット監督。カーリー・クーリ脚本。1991年製作。リドリー・スコット監督による4Kリストア版。 女性二人のロードムービーである。1970年代(正しくは69年だが)アメリカンニューシネマの筆頭「イージーライダー」が、一般論としての閉塞社会の打破を叫んだが、その20年後に、男性による閉塞された女性社会の解放を、本作が叫んだ。 男性による女性への性暴力。それが逃避行のトリガとなるのであるが、それ以前に、テルマの夫ダリルの専制的な態度(相手への思いやりが欠落しているのが致命的だろう)や、ルイーズの過去(具体的に語られないが、語るシーンはもともとあったらしい)が、心理的な与圧として内在している。 殺伐とした砂と岩と空の風景が永遠に連なる西部と、流れ去る湿り気を帯びた楽曲が、彼女らの心情風景。 最後にタンクローリーの爆発炎上シーンをつくったり、ヘリでの追跡シーンをつくったり、ここらへんは、本筋とは関係ないのだけれど、クライムバイオレンス風味をつけたいリドリー・スコットの趣味だろう。 だが、この濃い味付けを加えたので、最後のダイブも違和感がなくなった。 悪運と幸運が二人に次々に訪れるのだけれど、運がつきたという最後。追手の警察官は男ばっかりというのも時代である。 ハーヴェイ・カイテルが演じるハルが二人の女性の理解者という立ち位置なのだが、そんな男も二人を助けることはできない(しない)。リドリー・スコットの本音がここらへんにある。 私もこの二人の在り方として正しいだろうと思う。殉教者のようでもあるのだが、「自らだけで」切り開くのが、二人の生き方として正しいのだ。 ラストのストップモーション。 「明日に向って撃て」のブッチ・キャシディとサンダス・キッドのようだけれど、画面から飛びだすかのような男たちの必死に比べ、疾走してゆく青いサンダーバードの彼女たちの涼やかさは、どうだ。
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