ジャック・ブルースターは無一文の為、恋人の踊り子ロザリーにあっさりと振られた。下宿へ帰ると彼の祖父が金五十万ポンドと大きな邸宅を残して死んだ報せがあった。早速仲間を集めて美しい邸で祝賀会が開かれた。席上彼は可憐なシンシアを好きになった。其処へ又々大変な通知が舞い込んだ。今度は叔父が死んで六百万ポンドの遺産が譲られるのだ。但し次の条件が附いている。五十万ポンドを半年間に費い果たす事、人に与えたり貸したりはならぬ。又其の間は結婚はおろか婚約もならぬ。驚いたジャックは色々と工夫を凝らした。会社を作って無価値な株をうんと買った。シンシアは秘書にし、大勢の使用人には多額の給料をやった。流行らぬ劇団を買いロザリーをスターに愚劣なレヴューを上演した。ヨットを仕立ててモンテ・カルロへ乗り込み賭博をやった。所が不幸にもレヴューは当たり株は騰り賭博は勝つ。其の上ロザリーが纏り付くのでシンシアは嫉妬する。後一時間で半年の期限が満つという時、仲買人が彼の財産を持ち逃げしたので、破産した彼は文字通りの無一文となった。六百万ポンドは無事に彼の物となり、愛するシンシアと結婚する事が出来たのである。