久々に物語の世界にとっぷりとつかることができた。
ネタバレ
久々に物語の世界にとっぷりとつかることができた。
小さな物語が次々にたんたんと語られていき、全体の物語になっていく。また、物語の中で何か「意味」を示唆するようなこともなく、そのため邪魔されることなく自由に物語の世界につかることができた。赤ん坊の泣き叫ぶ姿が次々に現われるビデオを見る夫の話や、伝言ダイヤルに録音されている伝言の内容などは、物語として面白いと思ったし、フキが伝言ダイヤルを通して会うこととなった人物との話の展開にはついついどきどきとさせられてしまった。
もう一つ言えば、物語の時空が飛ぶため、よけいに物語性を高めていると感じた。冒頭の作文を読み終わった場面以降の話が時空の同じ物語として語られていくが、最後の方は、物語の時空が乱れていき、観終わると、冒頭の作文を読み終わった場面以前の話の時空が物語の前提になっているような感じにさえさせられる作りになっている。このような語り口は、物語全体の物語性をさらに強めていると感じた。