薬師丸ひろ子

|Hiroko Yakushimaru| (出演/音楽/脚本)

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本名 薬師丸博子
出身地 東京都港区の生まれ
生年月日 1964/06/09
没年月日

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東京都港区の生まれ。本名・薬師丸博子。区立青山中学1年生だった1977年12月、角川春樹事務所が「野性の証明」のヒロイン・長井頼子役を一般募集し、これに応じて1,224名の中から選ばれた。翌78年5月、テレビ朝日『敵か?味方か3対3』にレギュラー出演して女優デビュー。この年の10月に公開された「野性の証明」で主演の高倉健と義理の父娘役を自然に演じ、一躍人気を得る。続いて79年のTBS東芝日曜劇場『装いの街』で三田佳子と共演し、このドラマはのちに「セーラー服と機関銃・完璧版」82の併映作品として劇場でも公開された。「戦国自衛隊」79の少年武士役でのワンポイント出演を経て、80年には相米慎二監督「翔んだカップル」に主演。ひょんなことから同級生の男子と同居することになった女子高生の揺れる心を素直に演じた。81年、大林宣彦監督の青春SF「ねらわれた学園」に主演したのち、再び相米監督と組んだ「セーラー服と機関銃」に主演。やくざの組長にさせられた普通の女子高生の成長を、相米監督が瑞々しい映像によって映し出したこの作品は、配給収入22億8千万円の大ヒットとなり、彼女がマシンガンを撃つ場面で言う台詞「カ・イ・カン」はテレビCMにも使われ、流行語になった。また、映画と同題の主題歌で、歌手デビューも果たしている。こうして若手映画女優としてトップの地位を確立した薬師丸だが、大学入試のために一時芸能活動を休止。83年、玉川大学英米文学科へ入学したのちに活動再開し、松田優作と共演した根岸吉太郎監督「探偵物語」83、深作欣二監督による伝奇アクション「里見八犬伝」83、森田芳光監督の青春ロードムービー「メイン・テーマ」84と相次いで主演する。「里見八犬伝」以外は彼女自身が主題歌も歌い、いずれもヒットした。そして84年12月、澤井信一郎監督「Wの悲劇」が公開される。ここで彼女が演じたのは、三田佳子演じる先輩女優のスキャンダルの身代わりになって、世の脚光を浴びる新人舞台女優役。女優として、さらにはひとりの女性としても成長していくヒロイン像は当時の彼女にぴったりで、ブルーリボン賞主演女優賞、日本アカデミー賞優秀主演女優賞などを獲得し、演技者として評価を受けた。85年、角川春樹事務所から独立。川島透監督のアクション「野蛮人のように」85を皮切りに、那須博之監督「紳士同盟」86、滝田洋二郎監督「病院へ行こう」90などのコメディ、山田洋次監督のノスタルジックな青春映画「ダウンタウンヒーローズ」88、大々的にオーストラリアロケを敢行した降旗康男監督「タスマニア物語」90などに出演を重ねる。91年、ミュージシャンの玉置浩二と結婚。その後も、同性愛の夫を持つアルコール依存症の主婦を演じた松岡錠司監督「きらきらひかる」92では、大人の女性としての内面的な深みと繊細な演技を披露するなどしたが、93年の長崎俊一監督「ナースコール」以降はしばらく映画から遠ざかる。97年には『装いの街』から18年ぶりのテレビドラマ出演となるフジテレビ『ミセスシンデレラ』に主演。98年に玉置と離婚し、以後はテレビ朝日『恋愛中毒』00、TBS『ママの遺伝子』02など連続ドラマの主演が続いた。2002年、宮藤官九郎脚本によるTBS『木更津キャッツアイ』に、一風変わった性格の教師・浅田美礼役で出演し、そのとぼけた味が受けて、03年と06年に公開された映画版にも同じ役で出演する。05年は久々に映画の年となり、青山真治監督「レイクサイドマーダーケース」を皮切りに、出演作が立て続けに4本公開された。中でも、昭和30年代の東京・下町を舞台に、山崎貴監督がCGを駆使して描いた人情群像劇「ALWYAS/三丁目の夕日」で演じた鈴木トモエ役は、しっかり者の母性あふれれるお母さんという新たなイメージを彼女に与え、キネマ旬報賞、報知映画賞、日本アカデミー賞、日刊スポーツ映画大賞などの助演女優賞を受賞した。その後は母親役が増える一方で、フジテレビ『戦場のメロディ・108人の日本人兵士の命を救った奇跡の歌』09では、主人公の歌手・渡辺はま子を1カ月の歌のレッスンののちに熱演する。劇中では『ああモンテンルパの夜は更けて』などの名曲を自ら歌った。これがひとつのきっかけとなり、10年には行定勲監督「今度は愛妻家」のキャンペーンの一環として、20年ぶりに東京と大阪でコンサートを開催。11年の錦織良成監督「わさお」では、久々に主題歌『僕の宝物』も自ら担当した。テレビドラマはほかに、NHK『アフリカポレポレ』00、フジテレビ『1リットルの涙』05、『ホームレス中学生』08、TBS『タイガー&ドラゴン』05、『うぬぼれ刑事』10、日本テレビ『Q10』10などがある。「野性の証明」から「Wの悲劇」までの角川映画のヒロインとして活躍した時代にひとつの人気のピークを作り、今また母親役の似合う女優として、あるいは歌手として円熟した味わいを見せている。

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