昨年11月、アップサイド・フーズ社の培養トリ肉は、その安全性について問題がないとするアメリカ食品医薬品局(FDA)からのお墨付きを頂戴した。そしてつい先日、米農務省(USDA)は同社の培養トリ肉の食品表示を承認した。
アメリカだけでなく、いま世界各国で培養肉の実用化に向けた開発が急速に進んでいる。2040年には培養肉の食肉全体に占める割合が35%に達するという予測もある。
日本では日清食品や日本ハムのほか、スタートアップ数社が研究開発に取り組んでいる。
しかし、大量生産と市場流通にいたるまでには、コストや安全性、食品表示基準の整備、消費者の需要、食肉業界の反発といった、この映画にも登場した通り多くの課題が立ちはだかる。ラボ育ちの食肉が、レストランや私たちの食卓に並ぶまでには、まだ時間がかかりそうだ。
これも映画で語られたように、細胞の増殖に必要な培養液は、コスト高の最も大きな要因のひとつになる。この培養液にはウシなどの血清が不可欠だが、とても高価なうえに安定した供給が得られない。動物由来に代わる血清の開発が急務となっている。
そんな中、日本国内では日本ハムがいち早くこの研究で成果を上げた。血清を別の安価な食品成分に置き代えて、トリ肉の培養に成功したというものだ。日本の技術力に期待が高まる。
世界人口は増加の一途にあって、2050年には100億人を超えると言われている。今後10年で、動物性タンパク質の需要と供給は逆転するという試算もあり、食糧不足の危機を実感する日は遠くない。
決して大袈裟ではなく、「肉の成る木」には人類の未来がかかっている。