フランス映画。エッフェル塔建設をめぐるギュスターヴ・エッフェルの苦悩とかつての恋人アドリエンヌとの愛と別れのお話。アメリカで自由の女神の基礎を築いたことで名声を得たエッフェルはパリの地下鉄建設を夢見ていた。友人の記者アントワーヌの紹介でパーティで大臣に進言するが、政治家たちは3年後のパリ万博のシンボルモニュメントの話題でその他は入るスキがなかった。またアントワーヌの妻として紹介されたのがかつてボルドーで鉄橋建築中に愛し合い結婚の約束までしたアドリエンヌだった。そんなこんなで大臣たちの前でパリの真ん中に300メートルの鉄塔を立てると豪語するのだった。そしてコンテストで優勝し塔の建設に着手する。資金繰りが苦しく、作業員は賃上げ要求のストライキを起こし、近隣住民からは苦情が絶えず、頼みのマスコミもアントワーヌがエッフェルとアドリエンヌの中を疑い好意的な記事は一切なくなってしまう。それでもエッフェルは展望台が出来たら賃金を二倍にするといって作業員を鼓舞し、四つの足をつなぎ第一展望台が完成する。アドリエンヌとエッフェルは逢瀬を重ね愛を確かめ合うがそのことをアントワーヌに告げようとするが、アントワーヌからエッフェルに必要なのは資金と評判だと言われ、醜聞を避けるためアントワーヌとは別れない決心をするアドリエンヌだった。エッフェルもアントワーヌから塔をとるかアドリエンヌを取るか決めろと言われ、アドリエンヌからは私がアントワーヌを選んだと言われ、塔の建設に没頭するのだった。そして見事に300メートルの塔が完成するのだった。
まあ伝記映画ではないので、ギュスターヴとアドリエンヌの愛の物語を描きたかったのかな。でも今と違って機械も資材も限られた中でどうやってエッフェル塔を建設したのかの詳細をもっと知りたかった。特に第一展望台から上の建設はどうなっていたのだろう。また資金繰りが苦しかったけど第一展望台完成によってどう好転していったのだろう。愛を諦めて塔を建設したということでそのあたりがかなりうやむやになっていたのはとても残念だった。普仏戦争に負け帝政が終焉しブルジョアによる第三共和政が始まったころのフランスなので、身分違いの結婚はまだまだ困難だったのでしょう。だからこそ労働者階級出身のエッフェルが労働者のためといううたい文句を言い続けたのもわかる気がしました。また万博終了後も解体が困難になるようボルトではなくリベットで固定するよう指示していましたが、そのことで解体費用がかさむからなのか、あるいはパリのシンボルとしての役割を認められたからなのか、エッフェル塔は解体の危機を免れ、いまだにパリの中心部に鎮座していますね。そして一番悲劇的な状況を味わったのはブルジョワに生まれ労働者階級の男性に恋をしたアドリエンヌで、彼女の人生でエッフェルとの愛は至高だったかもしれないけどそのためかなりつらい思いを味わい続けたんじゃないのかなあ。そんなアドリエンヌの犠牲でエッフェル塔が建ったのかなあ。ところでエッフェルの弟子が設計した200メートルの塔はまるでかっこ悪いもので風雨に耐えられそうもないものだったけど、エッフェルの設計思想は弟子には伝わっていなかったのかなあ。