ダンスシーンに号泣、「アルジャーノンに花束を」を思い出した
ネタバレ
何の予備知識もなく、観た。
前半は、セイヤー医師(ロビン・ウィリアムズ演じる)の人物像(人見知りで人間付き合いが苦手、植物好き)をじっくり紹介。患者と相対する医師の仕事は苦手だが、担当するうちに、患者達の共通の反応や過去の共通の病気に気付く。そして、治療の可能性を秘めた試験薬に飛びつく。彼の真面目さが、この行動(試験薬に飛びつく)に走らせたのだろうが、正直、観ている最中に、「えっ、これで回復しました!めでたしめでたし、になっちゃったら、拍子抜けだなぁ」と思ったし、正直に言って「早計過ぎる」と一時的に興ざめしていたら、さすが、その後、冷静に現実的な展開になっていった。
セイヤー医師曰く、「僕は、人生を与えて奪ってしまった。」⇒このことから得られたことは、、、医学が発達した現代と言えども、最善の解決策は必ずしも薬じゃないのかも、家族、友情、愛や思いやり、、、
患者役のロバート・デ・ニーロは、流石の演技だった。目覚めた(Awakenings)後での、回復基調だが未だ不自由な動き、生きる喜びを感じる表情、自由に散歩する事を却下された時の怒り、その後の暴動に近い行動、チック症、、、これらの動作・表情の表出が凄まじい。
やがて、自分は元に戻ってしまう、と感じたレナード。食堂でポーラに別れを告げ、立ち去ろうとする。チック症状が激しい彼の手を片方づつ優しく握ってあげる彼女、自然にダンスへ促す彼女の優しさに涙が溢れ出た。ダンス後、窓から彼女を追うレナード。
ラストシーンは、観客をほっとさせる終わり方でした。シビアな現実を、後悔、反省、そして、生きていこうとする直感を描いてくれました。
好きだなぁ、こういう作品。1990年に作られたので、私は20台後半、この頃に作られた映画が持つテイストが好きなんだろうなぁ、自分は。
当作品は、実際にあった事をベースにした医療ノンフィクションの原作があるそうです。きっと、他の人が同じ道を歩まない様に、との気持ちを込めて出版したのでしょう。確かに、試験薬を投与された全員が、覚醒後、元に戻ってしまった。では、覚醒した時は幸せだったか?ある人は一時的にでも幸せだったかもしれない。ある人は、発症した年齢から精神面で止まっているので、現在とのギャップに悩んでいた。ある人は、家族は亡くなっていた。症状を取り除けは良いかというと、そうでは無い事に気付かされた。では、セイヤー医師は、どうすれば良かったのか?分からない。でも、病院内で、もっと議論がなされるべきだったのは確かだ。この作品が、その切っ掛けになれば良い。既に、なっているのかも。