大事なことほど小声でささやく

だいじなことほどこごえでささやく|----|----

大事なことほど小声でささやく

レビューの数

7

平均評点

66.5(21人)

観たひと

30

観たいひと

1

(C)GOLDEN TREE

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ヒューマン / ドラマ
製作国 日本
製作年 2022
公開年月日 2022/10/21
上映時間 98分
製作会社 GOLDEN TREE(企画:ゴールデンツリー=アイオーン/制作協力:UNITED PRODUCITONS)
配給 SDP
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット デジタル
メディアタイプ ビデオ 他
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督横尾初喜 
脚本谷碧仁 
原作森沢明夫
(『大事なことほど小声でささやく』(幻冬舎文庫))
プロデューサー杉浦美奈子 
田窪桜子 
撮影春木康輔 
美術小栗綾介 
音楽上田壮一 
主題歌田村芽実
(「似たものどうし」)
録音阪口和 
ミックス浅梨なおこ 
サウンドデザイン浅梨なおこ 
照明本間光平 
編集松山圭介 
衣裳岡本華菜子 
ヘアメイク末永昌宏 
ラインプロデューサー三輪夕奈 
アシスタントプロデューサー原田佳歩 
助監督小山亮太 
スチール水野嘉之 
グラフィックデザインおかもとゆりこ 
タイトルデザイン坂川英治 
坂川朱音 
イラストあずみ虫 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演後藤剛範 ゴンママ(権田鉄雄)
田村芽実 カオリ
深水元基 センセー(四海良一)
遠藤久美子 四海由佳
峯岸みなみ ミレイ(井上美鈴)
遠藤健慎 シュン(国見俊介)
大橋彰 ケラ(本田宗一)
田中要次 シャチョー(末次庄三郎)

場面 ▼ もっと見る▲ 閉じる

予告編 ▲ 閉じる▼ もっと見る

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

森沢明夫による同名小説を「こはく」の横尾初喜監督が映画化。昼はジムで体を鍛え、夜はジム仲間が通うスナックを営むマッチョなオカマ、ゴンママ。名物は悩みに合わせた特別なカクテルだ。ある夜、センセーこと歯科医の四海良一が一人でスナックにやってくる……。出演はNetflix『全裸監督』の後藤剛範、ミュージカル女優として活躍する田村芽実、「ファンシー」の深水元基、「こはく」の遠藤久美子。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

昼はジムで体を鍛え、夜はジム仲間が通う「スナックひばり」を営むマッチョなオカマ、ゴンママこと権田鉄雄(後藤剛範)。皆の良き相談相手であり、いつも陽気なゴンママだが、人知れず不安を抱え眠れない日々を送っていた。そんなある夜、ジム仲間であるセンセーこと歯科医の四海良一(深水元基)が一人でスナックにやってくる。彼は数年前のある出来事による悲しみを乗り越えられず、妻の由佳(遠藤久美子)との関係も冷え切っていた。話を始めた良一にゴンママとバーテンダーのカオリちゃん(田村芽実)が、そっとソルティドッグを出す。カクテル言葉は“寡黙”。戸惑う良一にゴンママは「悲しい時は泣けばいいのよ」と語りかけるのだった……。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2022年11月上旬号

UPCOMING 新作紹介:「大事なことほど小声でささやく」

2023/05/02

2023/05/20

65点

レンタル 


コメディからお涙頂戴へ急ハンドル、ぶつかるよ。

ネタバレ

舞台はジム。トレーニングに励む会員たちを、あだ名でピックアップし、おもしろおかしく紹介する。
シャチョー(田中要次)は、素性を明かさない謎の美女会員のミレイさんに(峯岸みなみ)を露骨にナンパ
する。新人のケラさん(大橋彰)も先輩方の筋肉に魅せられ、懸命に筋トレ。他にも紙飛行機作りが好きな
青年シュン、歯科医のセンセー(後藤剛範)など多彩な顔ぶれ。
特に異彩を放つのがゴンママ(後藤剛範)。強面の大男で、身体中筋肉のかたまりだが、中身はオカマ。
夜になると、「スナックひばり」のオーナーとして、アリバイトのカオリとともに接客する。
お客にカクテルを供するのだが、酒の言葉を紹介する。花言葉のカクテルバージョン。これがミソで、
お客の語る話が、一つの人情物語になるのだろう。原作小説のスタイルは連作短編集。第四作目の
「四海 良一の蜻蛉」を中心として脚色された。

とある夜、現れたのは歯科医の良一だった。かつては雄弁だった良一は、悲劇的な出来事のため、
妻の由香(遠藤久美子)との関係が冷えきってしまった。
出されたのはソルティ・ドッグ。酒言葉は「寡黙」。ゴンママは「悲しい時は泣けばいいのよ」という殺し文句。
映画はコメディかという展開から、良一・由香夫婦の涙腺を絞るストーリーが語られる。
夫婦関係の悪化を望む人はいない。良一が妻の落ち込んだ気持ちを察して、ジムの出来事をユーモア
たっぷり話すが、由香はパソコンでメッセージを打っているのか無反応。あるいは、その逆で、由香が
気を使って良一に話しかけるが、夫は聞こえているのか、聞こえていないのか無反応。互いに無反応の
応酬が描かれる。その原因は愛娘の死だった。
娘の死を精神的に克服するのは並大抵ではない。夫婦といえども同じタイミングで嘆き悲しみ、癒やされて
いくわけではない。シンクロされない回復への道のり。無反応の応酬というのは、いかにも現代的な夫婦
の悲劇で、見事な描写だった。

ディアハンターさんは最後までタイトルの意味が判らなかったと、嘆いたが、原作小説を読むと、第一作目
でゴンママがケラさんに、タイトルの言葉を語る。カクテル言葉で人生の機微を伝える、といったところか。

2022/12/04

2022/12/06

60点

映画館/福岡県/福岡中洲大洋 


「あ」と「ん」の間

スポーツジムに通うオカマバーのゴンママやアイデアが枯渇した女流漫画家のミレイ、さらにシャチォーやセンセーを交えた群像劇のつもりで見始めたら、幼い娘を亡くした歯科医のセンセーが主役(ゴンママとのW主演とも言える)になっていた。明るくて優しい妻がセンセーの心無い一言で心を閉ざしてしまう。後悔したセンセーが何とかコミュニケーションを取ろうとジム仲間の話題を口にするのだが却って逆効果。長きに渡り夫婦関係は冷めたまま。

家に居場所が無いセンセーは頻繁にゴンママの店に来る。訳ありの女性バーテンダー(この人もゴンママに助けてもらっていた)が作るカクテルのカクテル言葉がその人の心情を的確に捉えていた事に瞠目。反抗期の娘との距離感に悩むケラさんにはメロンボール【変身】、妻との関係が暗礁に乗り上げたセンセーにはキムレット【遠い人を想う】とソルティドッグ【寡黙】を振る舞っていた。この店の中だけに舞台を限定して、各人の思い出を回想シーンで描くオーソドックスな作劇も見てみたかった。

ゴンママの唯一無二のキャラクターが本作最大の魅力。この人が口にする飾らない言葉は観客にも突き刺さっていたはず。“悲しいときは喋らなくていいのよ”、私にはこの言葉が刺さりました。こんな店が身近にあったら行ってみたいな。

娘のお墓参りに行ったセンセーと妻は墓前で大喧嘩をする。“死んだ人にとらわれ過ぎたら前に進めない”と妻。本当にそのとおりだと思う。生きている限り自身の命を精一杯全うするのが死者への供養でもある。そんなメッセージがそこはかとなく感じられたヒューマンドラマでした。それにしてもタイトルの意味は未だに不明だ。

2022/12/01

2022/12/04

69点

映画館/宮城県/チネ・ラヴィータ 


スナックひばりに行ってみたい

 森沢明夫の小説の映画化作品。昼はジムで体を鍛えつつジムを訪れる人たちのトレーニングに付き合い、夜は「スナックひばり」のママを勤めるマッチョなおかまのゴンママが、スナックひばりを訪れる客の悩みを聞く。スナックひばりのバーテンダーのかおりが客に合ったカクテルを提供する。そしておしゃべり好きな歯科医のセンセーが抱える悩みが明らかになる。幼い娘の死後(死因は不明、体重減少を示唆するセリフがあったので白血病などの小児癌だったかな)夫を気遣う妻につらく当たったことから二人の仲が冷え切っていた。それはセンセーが娘の死を実は受け入れていなかったことから妻に寄り添えていなかったことが原因。ゴンママやかおりのカクテルそして妻との直接対話で気付かされ娘の痕跡を探すことをやめ前を向いて進んでいくことを決意するのだった。
 ジムに通う訳アリの人たちそれぞれが面白そうだった。そしてゴンママ自身もいろいろあったんだろうなあと思う。それぞれの話だけで一話出来そうだったけど、原作はどういう構成なんだろう。センセーをメインに据えたのは娘の死という大きなイベントが映画的にはわかりやすかったからなんじゃないかとは思うけど、ミレイとかケラとかも面白そうだったなあ。カクテルに花言葉のようなカクテル言葉があるというのは初めて知った。阿吽の意味合いもなかなか面白かった。そういった知的好奇心をくすぐるだけでなく、人それぞれの行動とかはまるでコメディのようでもあり、楽しい作品でした。まあ酒の飲めない私にとってはスナックひばりがとてもうらやましい空間に見えた。

2022/11/17

2022/11/18

80点

映画館/京都府/京都みなみ会館 


群衆の中の孤独。

ネタバレ

映画は、ジムで鍛える人々の和やかな交流風景に始まり、その中でもひときわムードメーカーとしての役割を担っているのが筋肉質なオカマの通称ゴンママ。昼は仲間たちと体を鍛え上げ、夜は自分のスナックで皆の愚痴の聞き役に徹している。もう一人のムードメーカーである歯科医の四海は、ひたすら陽気に喋る人物だが、家族のことで仲間には隠した問題を抱えていて…

時折その姿が挿入される四海の幼い娘が、夫婦の会話の時間には現れないので、もしかしたらと思って見ていると、やはり四海とその妻の間には悲痛な過去があることが分かってくる。

ジムの仲間たちの会話があまりに楽しいので、それだけに四海夫妻の抱える悲痛さが際立って見えてくる。そして、娘が家のそこここに残した痕跡が涙を誘うクライマックス。

ゴンママを含む、明るく振る舞う人の中の孤独を垣間見せながら、それでも人と触れ合わずにはいられない人間という生き物を描いた秀作。花言葉ならぬ“カクテルことば”も作品の彩りとなっている。

2022/10/23

2022/10/24

80点

映画館/東京都/ユーロスペース 


ゴンママ素敵です

ネタバレ

孤独を描いたヒューマンドラマ。
人は1人だけど、独りじゃないというメッセージが良かったです。

主演は後藤剛範さんといってよいのだろうか。
普段はマッチョのチンピラ役が多い印象ですが、本作では実は寂しがりやのオネエを演じる。
そのマッチョとオネエのギャップが面白く、思わずゴンママのお店に行きたくなりました。

ストーリーは、ジムに集まる6人の男女の群像劇かと思ったら、そのうちの1人のセンセーと言われる男に焦点をあてる。

センセーの悩みは家族不和。
妻の塩対応にこれはキツいと思っていたのですが、実はその前にセンセーが妻に対して塩対応をしていたというもの。
その原因は娘の死。
家族3人が揃わないので違和感があったのですが、そのストーリー構成が巧みでストーリーに引き込まれます。
そして、娘が両親に向けて書いた落書きが「○○がすき」というメッセージ。
最後の「ありがとう」という言葉に感動でした。

オープニングは後藤さんのオネエネタや、田中要次さんセクハラネタにコメディかと思ってしまいます。
しかし、終わってみたら感動ストーリーに涙腺決壊でした。
ゴンママはバーを経営しており、お客さんに合わせたカクテルが良かったです。

2022/10/22

2022/10/22

70点

映画館/東京都/ユーロスペース 


「スナックひばり」のマッチョなオカマママ、ゴンママの見た目とは裏腹の優しい眼差し。

何の予備知識も持たないまま観ただけに自分的には意外な拾い物。原作は「スナックひばり」に集うお客のそれぞれの物語だが、本作はお客たちを紹介しながらも、一編のみに集約。四海良一の夫婦の絆だけかと思わせながら、一捻りした編集により家族の物語を描いているあたりが上手い。涙腺の弱い者には波を誘う。