半世紀近く前の作品だが、今観てもその面白さは変わらなかった。息次ぐ間もないピンチの連続の冒頭12分から、画面に引きずり込まれる。冒険活劇として、ジョン・ウィリアムズの楽曲と共に、映画史に刻まれる名作と言っても過言ではあるまい。『スターウォーズ』封切直前のルーカスと、『未知との遭遇』を撮り終えたスピルバーグの夢から始まったこの物語。ルーカスは原案で製作総指揮、スピルバーグが監督。上り調子の二人が組めば、もう天下無敵だ。
今ではこのようなテンポで次々と困難を乗り越える映画は多々あれど、1980年代初頭ではとても斬新であった。とにかくスピルバーグは撮り方が巧い。酒場での乱闘シーンだけとっても、そのカメラアングルから、役者への演技指導に至るまで、自らの映画ファン丸出しで、観客を楽しませようとしてくれる。蝋燭の灯後方に人物を配置して、その揺らぎ越しに役者の表情を捉えたり、敵が倒れた後方からの味方の出現とか、意表を突くカメラだけでも実に面白い。ここでは実際に酒場を燃やしているので、役者もスタッフも大変だったと思う。
更に大変だと思えるのは、やはり大量の蛇。セットが大き過ぎて、2000匹用意してもまだ足らない。スピルバーグはあと7000匹いないとダメだと、メイキングで言っていた。実際何匹になったか不明だが、「地面が動いている」感は出ていた。キャストの面前に鎌首をもたげるコブラのシーンには、観ているこちらさえビビってしまう。冒頭の背中を這う大量のタランチュラにも腰を抜かしそうになった。
この過酷なシリーズの主役は、ご存知ハリソン・フォード。他にも候補はいたということだが、やはり彼で正解だ。インディは無敵のヒーローではなく、生身の人間。カッコ良さと、同時に弱さも表現できているハリソンは嵌まり役だ。
お相手となるカレン・アレンもまた良い。男もぶん殴る勝気なヒロインを、健康的な明るさで演じきった。無邪気でカラッとしたお色気シーンもグッド。このままシリーズに出続けてほしかったが、彼女の再登場は、第4作までおあずけになる。
公開当時観た感想としては、ラストのオカルトシークエンスが唐突な気がしたが、改めて観直すと、ちゃんと最初から伏線が張られていた。その他、マリオンが酒に強いことや、インディが蛇が苦手なことなど、後の展開にしっかり活かされている。横取りされてしまうのも、またしかり。なぜナチスの測量が間違っていたのかの、理由が面白い。
アクション・シーンもハラハラもの。走る車の下をくぐったり、フロントガラスを突き破ったりなど、撮影も大変だ。しかし、そんなハラハラのシーンでも、スピルバーグはユーモアを欠かせない。激しいアクションを固唾を呑んで観ていると、ふいに訪れる軽い笑い。フッと緊張がほぐれるので、肩が凝らない。
さて、文句なく面白いので満点にしたかったが、唯一気になるのはU-ボート。あの潜水艦は、航行中海に潜らなかったのかな。それかインディは、ハッチを開けて中に忍び込んでいたのかな。まあ、この世界観に於いては、些細な瑕疵ではある。
1981年キネマ旬報ベストテンでは惜しくも第12位だが、読者選出では第1位に輝いた。