PLAN 75

ぷらんななじゅうご|----|----

PLAN 75

レビューの数

139

平均評点

72.8(634人)

観たひと

863

観たいひと

56

(C)2022『PLAN75』製作委員会 / Urban Factory / Fusee

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル SF / 社会派 / ヒューマン / ドラマ
製作国 日本
製作年 2022
公開年月日 2022/6/17
上映時間 112分
製作会社 『PLAN 75』製作委員会(ハピネットファントム・スタジオ=ローデッド・フィルムズ=鈍牛倶楽部=Urban Factory=Fusee)(企画・制作:ローデッド・フィルムズ/制作協力プロダクション:SS工房)
配給 ハピネットファントム・スタジオ
レイティング 一般映画
カラー カラー
アスペクト比
上映フォーマット デジタル
メディアタイプ ビデオ 他
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督早川千絵 
脚本早川千絵 
脚本協力ジェイソン・グレイ 
エグゼクティブ・プロデューサー小西啓介 
水野詠子 
國寶瑞恵 
石垣裕之 
フレデリック・コルヴェ 
ウィルフレド・C・マナーラン 
プロデューサー水野詠子 
ジェイソン・グレイ 
フレデリック・コルヴェ 
マエヴァ・サヴィニャン 
コ・プロデューサーアレンバーグ・アン 
撮影浦田秀穂 
美術塩川節子 
音楽レミ・ブバル 
録音臼井勝 
サウンドデザインフィリップ・グリベル 
照明常谷良男 
編集アンヌ・クロッツ 
スタイリスト岡本華菜子 
ヘアメイク宮谷三千代 
キャスティング細川久美子 
ラインプロデューサー古賀奏一郎 
制作担当金子堅太郎 
助監督近藤有希 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演倍賞千恵子 角谷ミチ
磯村勇斗 岡部ヒロム
たかお鷹 
河合優実 成宮瑶子
ステファニー・アリアン マリア
大方斐紗子 
串田和美 

場面 ▼ もっと見る▲ 閉じる

予告編 ▲ 閉じる▼ もっと見る

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

是枝裕和が総合監修を務めたオムニバス「十年 Ten Years Japan」の一編を元に、出演者を一新した早川千絵の初長編。超高齢化社会に対応して日本政府が導入した75歳以上の高齢者が自ら死を選ぶ制度“プラン75”に翻弄される人々の物語。出演は「男はつらいよ お帰り 寅さん」の倍賞千恵子、「ヤクザと家族 The Family」の磯村勇斗、「サマーフィルムにのって」の河合優実。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

世界の中でも速いスピードで高齢化が進んだ日本では、超高齢化社会に対応すべく、75歳以上の高齢者が自ら死を選び、それを国が支援する制度“プラン75”が施行されることになった。制度の運用が始まってから3年。“プラン75”を推進する様々な民間サービスも生まれ、高齢者の間では“自分たちが早く死ぬことで国に貢献すべき”という風潮がにわかに広がりつつあった。78歳の角谷ミチ(倍賞千恵子)は、夫と死別後、ホテルの客室清掃の仕事をしながら長年、独り暮らしを続けてきた。市役所の“プラン75”申請窓口で働く岡部ヒロム(磯村勇斗)や申請者のサポート業務を担当する成宮瑶子(河合優実)は、国が作った制度に対して何の疑問も抱かず、日々業務に邁進していた。また、フィリピンから出稼ぎに来ていたマリア(ステファニー・アリアン)は高待遇の職を求め、“プラン75”関連施設での仕事を斡旋される。そんなある日、ミチは職場から高齢を理由に退職を余儀なくされる。職を失い、住む場所さえ失いそうになったミチは、“プラン75”の申請手続きを行うか考え始める……。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2023年2月下旬 キネマ旬報ベスト・テン発表特別号

日本映画ベスト・テン:

読者選出日本映画ベスト・テン:

2022年10月下旬号

読者の映画評:「シャドウ・イン・クラウド」瀧本正則/「PLAN 75」西澤政春/「ビリーバーズ」日吉一郎

2022年8月下旬号

読者の映画評:「アドリブ・ナイト」小池ハル/「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」岩﨑敬/「PLAN 75」渡辺綾

2022年8月上旬号

読者の映画評:「ドンバス」平岩潤/「PLAN75」原田隆司/「アカルイミライ」三好恵瑠

2022年7月上旬号

REVIEW 日本映画&外国映画:「PLAN 75」

2022年6月下旬号

UPCOMING 新作紹介:「PLAN75」

2025/10/19

2025/10/20

90点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 


後期高齢者だらけのこの世界で

これだけ高齢者が増えてくると、本当にこの“PLAN75”が実現する世の中になりかねない。私自身もそれまでにあと10年しかない。今は仕事もさせてもらえているが、いつ首を切られてもてもおかしくない立場。ようやく年金がもらえる年齢にはなったが、それだけで果たして食べていけるのだろうか。不安は募るばかりだ。

倍賞千恵子演じるミチは、4人の高齢者仲間と楽しく働いていた。そういう環境であれば、PLAN75も考えなくてもよさそうだ。しかし、運命は徐々に変化していく。次第にPLAN75に向かわざるを得ない状況に追い込まれていく様子が、淡々と描かれていく。

丁寧な説明は一切排除されているので、観客は想像を巡らさなければならない。セリフも最低限なので、役者の芝居と周囲の画面から、判断しなければならない。観客によって、捉え方は変わるだろう。それでも倍賞千恵子の演技は当然素晴らしく、文句のつけようもない。彼女は私の中では、いつまでも寅さんの妹で、その作品の中で、ずっと年を重ねていく様子を見てきた。あの若く可愛らしい“さくら”も、もう後期高齢者だ。倍賞はその老いた身体を晒す。年老いてしまった。彼女も、この私も。もう後戻りはできない。

年金で生活できるはずではなかったのか。年老いた体に鞭打って、いつまで働かなければならないのだろう。どうせ今の仕事さえ、ずっと働けるわけでもない。ミチたちのように、いつクビになってもおかしくはないのだ。

映画内では二人の若者の行動に、それでも希望が感じられる。プラン75の職員ヒロム(磯村勇斗)は、音信不通だった叔父と再会。できるだけ叔父に寄り添おうとする姿が、気持ちが美しい。瑶子(河合優実)はPLAN75のサポート業務を担当するコールセンター職員。電話で一回15分だけ、死を決めた利用者の話し相手になってくれる。規則違反までしてミチの希望を叶えてくれる優しさ。そして最後の電話での、涙を堪えながらの芝居は絶品。

そして、ラスト。ミチに何が起こり、何を思い、そしてどうするのか。それは映像を堪能しながら、それぞれが思いを馳せればいい。

2022年キネマ旬報ベストテン第6位。同じく読者選出も第6位。

2025/08/03

2025/08/03

60点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
字幕


暗く静かで,変に物音がする世界で

銃声の前には静寂とやや大きな音が聞こえる.汚れた窓の外には山が見えている.このショットは,終盤の重要なショットにもつながっているようにも見える.75歳以上の公的な自殺幇助制度がプランとされ,そのプランの事務を担当しているヒロム(磯村勇斗)にも葛藤がないわけではないらしい. 彼のもとへ75歳の誕生日を迎えたおじさん幸夫(たかお鷹)を訪ねてくることで,若いヒロムの精神や行動にも波紋を及ぼしているようにも見える.生活困窮者たちの炊き出しの場にも彼は現れる.横になれないベンチも彼は扱っているらしい.
また,ミチさん(倍賞千恵子)は78歳で働きたい意志があるが,職場もなく住まいも追われようとする彼女には,生きる術を失いつつある.彼女にも稲ちゃん(大方斐紗子)ら老婆の仲間があり,カラオケに興じていることもあるが,それでも身寄りのない者たちは孤独である.
また,安息日なのだろうか,歌っているフィリピン国籍の人々がいる.そこにマリア(ステファニー・アリアン)も見えている.彼女は,火葬までするプランの関係施設で,遺体の遺品整理もしている.
不思議な音が聞こえている.ミチさんの前で遮断機が降り,ヒロムの前で遮断機が上がる.いい声があり,似ている声があるらしい.ミチさんのプランを担当する成宮先生(河合優実)は,ボウリング場で面会をしている.死出の旅へと向かうバスの車窓には木が流れ,トンネルが流れ,住宅街が流れていく.それはおじさんを施設に連れていくヒロムの車窓にも連なっていく.冬の天気をアナウンスするラジオが聞こえ,その音声が二つの車窓を繋いでいく.
カーテンの向こう側が蠢いている.隣の死の姿も見えようとしている.ミチさんの視線の先には,山と雲と太陽が見えている.彼女は歌を歌っている.ここにある静けさは,既に死後の世界のようにも感じられる.生前の世界には死後の世界が浸透しつつあるようにも見える.人々はシルエットで抜かれ,それは無名な者たち,あるいは死者たちをも想起させる.

2025/08/02

2025/08/02

80点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 


今の日本の状況を思えばとても絵空事とは思えない。近未来の設定とは言え風景や雰囲気がほぼ現代と変わらず、そう遠くない将来にこんな事が起こり得るんだと感じさせる恐ろしさ。少ないセリフも相まって徹底したリアリズムで魅きこんでいく演出と脚本が見事。少し爽やかな余韻を残すラストだけど、彼女のその後の人生が保障されているわけではない。何とも複雑で色々と考えさせられる。少ない出番ながら最後の電話のシーンで強烈な爪痕を残す河合優実は助演賞ものかと。

2025/06/25

2025/06/25

20点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 


邦画には珍しい近未来もの。
テーマは注目すべきものがあるが、こう淡々と描かれるとさすがに退屈。映画なんだから、もう少し演出があってもいいと思うのだけど。結局、最後の朝日の美しいシーンしか印象に残らなかった。
『霧の旗』の美少女から寅さんを経て、老婆になった倍賞千恵子の生き様を観る作品でもある。横顔が、最近のシャーロット・ランプリングに似ている事に気づいた。

2025/06/24

2025/06/24

20点

選択しない 


救いがない。ただ寂しくなるだけだった(^^;;

高齢化社会の孤独死対策、政府が安楽死の手助けをする未来。ゾッとする設定だけど、死を選ぶ老人とそんなシステムで働く若者や外国人労働者の様子が断片的に提示されるだけで、物語としてのパワーがなく、心に響くものがない。

2025/06/23

2025/06/23

80点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 


考えさせられる・・

いくら高齢化の時代といっても、国が75歳以上の高齢者に「率先して死ね」というのはどうかと思う。極端な少子化にしてしまったのは今の政府与党の責任じゃないのか!高齢者いじめをするな!