ソ連の人工衛星に乗せられたライカ犬が、霊となってモスクワの街角を彷徨っている、という設定の、犬の目線で野良犬の生態と、ソ連のライカ犬による宇宙開発計画のアーカイブを織り交ぜたドキュメンタリー。モスクワの深夜、一匹の野良犬が、ゴミ捨て場で横たわっていると、二匹、三匹と集まって横たわる。腹を空かせているようだ。昼間、舗道を歩く歩行者に野良犬の存在は眼中にない。人気のない公園、目の前を白猫が横切る。瞬間、猫は犬の牙に捉えられ、喉を噛まれ、振り回され、息も絶え絶えになる。犬は幾度も腹を噛み続ける。ワンショットで長々と見せられるが、不思議と残酷だ、猫が哀れだ、といった思いは湧いてこない。狩猟犬の本能だからか。犬がカメラの存在を気にせず、犬の目線で撮り続けることができたことに驚く。