(※)『殺人目撃者』の記載欄が無いので、評点記載せずにレビューのみ、こちらに記載させていただく。バーバラ・スタンウィック出演作。
最初から最後まで眼が離せないハラハラドキドキのサスペンス映画の佳作。
バーバラ・スタンウィックが殺人目撃者、犯人はジョージ・サンダースだが怖すぎる。
ロイ・ローランド監督作品。
本作は、オープニングタイトル表記の合間に、いきなり殺人が起こる。
都会のマンションに一人住まいの女性(バーバラ・スタンウィック)が夜、眼をさまして窓の外を見ると、向かいのマンションで男(ジョージ・サンダース)が女性を扼殺している場面。強烈なインパクトあり。
そして、彼女は警察に「殺人を見た」と電話するが、警察が到着する頃には、犯人は女性の死体を自分の部屋から他の部屋に移動させて隠してしまったので、警察が通報された男の部屋に行った時は疑わしいところ無し。しかも、犯人はパジャマに着替えて、頭もボサボサにして「いかにも寝起きという雰囲気」で刑事と会話するあたり芸が細かい(笑)
警察は彼女に「夢でも見たんだろう」と言って、彼女の言い分を信じないで帰ってしまう。
翌朝、犯人の男は大きな箱を車に積んで出かける。それを見た女は、彼の部屋に忍び込み、女性のアクセサリーを見つける。「これが証拠だ!」と喜んだ彼女は警察に持って行くが、その前に犯人がアクセサリーが無くなったのに気付いて「部屋に盗人が入ってアクセサリーが盗まれた」と先回りの電話をしていた。これまた芸が細かい。
一方で、刑事は男の身元を調べる。すると彼は元ナチスだったことを突き止めるのだが、それでも証拠が無いので彼女の言うことを信じない。
ここで彼女の言う事を信じる人間が1人いる。犯人の男である。犯人は「彼女をなんとかしなければ…」と考え、「彼女は気が狂っている」ということを「彼女が書いたという手紙(本当は彼が彼女の部屋に忍び込んでタイプライター使って書いた手紙)」によって、とうとう彼女は精神病院に入れられてしまう。
そして、グリフィス・パークという公演で女性の死体が発見される。さすがに刑事も「これは…」と思い始めるのだが、犯人は彼女を殺そうとしていた……という凄い展開。
全体的に、冒頭で殺人現場をバッチリ映しているので、あの「刑事コロンボ」のような倒叙法で描かれたサスペンス映画。
撮影監督がジョン・オルトンだけあって、夜の風景での「影が壁に映るシーン」も見事であり、精神病院でバーバラ・スタンウィックの後ろに「窓の格子が影で映るシーン」も素晴らしい。
向かいの部屋の殺人事件を目撃するという物語ではヒッチコックの『裏窓』が有名だが、本作は『裏窓』と違って、最初から犯人が目撃者を認識しているあたりが異なる。そのため、本作の殺人目撃者=バーバラ・スタンウィックがドンドン追いつめられていくあたりが趣き異なる。
なお、本作も『裏窓』も1954年作品。同年に似たような設定の映画が作られたのは偶然か…。
本作は、多分あまり知られておらず、地味ではあるが、サスペンス映画の佳作であることは間違いない。