シリアにて

しりあにて|----|INSYRIATED

シリアにて

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レビューの数

19

平均評点

74.0(61人)

観たひと

82

観たいひと

7

(C)Altitude100 - Liaison Cinématographique - Minds Meet - Né à Beyrouth Films

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 社会派 / 戦争 / ドラマ
製作国 ベルギー=フランス=レバノン
製作年 2017
公開年月日 2020/8/22
上映時間 86分
製作会社 Altitude100=Liaison Cinematographique=Films Boutique
配給 ブロードウェイ
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット デジタル
メディアタイプ ビデオ 他
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

内戦が続くシリアの首都ダマスカスを舞台に、ある家族の緊迫の24時間を描いた密室劇。一歩外に出れば、直ちにスナイパーに狙われる状況の中、戦地に赴いた夫の留守を預かるオームは、幼子を抱える隣人夫妻と共に、自宅に身を潜めて暮らしていたが……。出演は「ガザの美容室」のヒアム・アッバス、「判決、ふたつの希望」のディアマンド・アブ・アブード。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

シリアの首都ダマスカス。未だ内戦の終息は見えず、アサド政権と反体制派、ISの対立が続く中、ロシアの軍事介入により、アサド政権が力を回復しつつあった。そんな中、戦地へ赴いた夫の留守を預かる女主人オーム(ヒアム・アッバス)は、家族と共にアパートの一室にこもり、何とか生活を続けていた。さらにそこには、幼子を抱えた隣人のハリマ夫婦も身を寄せていた。そしてある日、レバノンの首都ベイルートへの脱出ルートを見つけたハリマの夫が、今夜こそ逃げようとハリマ(ディアマンド・アブ・アブード)に計画を相談する。だが、脱出の手続きをするためにアパートの外へ出たハリマの夫は、直ちにスナイパーに狙撃され、駐車場の端で倒れてしまう。一部始終を目撃したメイドのデルハンは慌ててオームに知らせるが、外に出るのはあまりにも危険で、助けに行くことはできない。ハリマに夫が撃たれたことを伝えようとするデルハン。だが、狙撃を恐れたオームは、デルハンを押しとどめる。ハリマにはまだ生まれたばかりの赤ん坊がいるのだ。彼女を守るため、オームは苦渋の選択を下すが……。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2020年9月上旬号

UPCOMING 新作紹介:「シリアにて」

REVIEW 日本映画&外国映画:「シリアにて」

2025/10/11

2025/10/18

72点

VOD/U-NEXT 
字幕


シリア国内の生活がちょっとでも判れば...

 シリアのアサド政権が崩壊したのが2024年11月、この映画の制作が2017年なので、2016年頃の時代だろう。ウェキ先生に教えてもらうと、アサドの強権政治が始まってきたのが2007年頃からで、さらにアラブの春(個人的にはアラブの春は中東の政情を不安定にさせただけだと思っているのだが)から反体制派と政府側の対立が激化していって、ロシアのてこ入れによる反対派への虐殺が激しくなっていった。シリア国内での戦闘は十数年も続いていたわけだ。
 先月観た「娘は戦場で生まれた」が、シリアのアレッポがロシア軍の攻撃により陥落するまでを描いたドキュメンタリーだったが、これもしんどい映画だった。
 大体、シリアがこんな危険な状況で経済が成り立っている、というのが不思議だ。だって一歩外に出れば、いつ撃たれるかも判らない危険な状況でどうやって働くことが出来るのだろう。農産物が収穫されてもそれを流通、販売することが出来ないじゃない。また、輸出入も出来ないだろう。それともアサド政権の息のかかった連中だけが商売できて暮らしていったのだろうか。
 この映画は舞台が高級なマンションの一軒だろうか、そこに家族4人、使用人1人、同じアパートから逃げてきて世話になっている若夫婦と赤ちゃんの3人、そして知り合いの男の子であろうか1名の合計9名。ほとんどが家の中が舞台で、カメラが外に出るのは数シーンあるだけだ。舞台劇だったとしてもおかしくない。ただ、部屋の間取りが多いのでそこは大変かな。外は危険で、若い夫婦の夫が外に出た途端に狙撃手に撃たれて倒れてしまう。こんなところに住むの絶対いやだよ。
 アパートに住む住民はほとんどいなくて、水道は止まっている。電気は来ているようだ。ドアは鍵だけでなく、でかい木の閂を2段している。そのくらい外部からの侵入に警戒している。そんな中でなんとか生活している中、秘密警察なのかただの強盗なのか、男2人がやってくる。
 こんな状況の中で生活なんか出来ないよ。とっとと逃げ出した方がいい。でもどこに逃げればいいの?
 この映画の制作はベルギー、フランス、レバノンとなっていて、おそらくシリア難民の人たちからシリアの状況を聞いて作っていったのだろう。非常にシビアな映画だった。こんな状況下であと8年も生き残っていかなければいけなかったシリアの人達の苦悩は、到底アジアの外れに住んでいる私には想像も出来ない。そんな人達に対して外国人排斥を唱える連中は、今のガサやウクライナで暮らしてみたらいい。私たちが出来ることといったらそんな彼らを微力ながら支えることではないか。クルドの人達も国を持たない最大の民族で、昔から常にその国の中央政権から迫害を受け続けている人達なのだ。そしてISやシリアのアサド政権と一番勇敢に戦った人達ということを知るべきだ。日本で悪いことをしているクルド人っている?お隣のお隣の国の人達と比べると、ほとんど犯罪なんかしていないよ。どこかの馬鹿があおって差別しているんでしょ。そんなクズどもにならないように。

2025/10/08

2025/10/08

50点

選択しない 
字幕


きちんと煙草を燻らすことが出来る奴は少ない

素晴らしい演技だ。
それだけで良作になっている。

2025/04/24

2025/04/25

65点

その他/図書館 


無常の世界

本作はシリア内戦が勃発(2011年3月)してから6~7年経って国土が荒廃し、それでもロシアの空爆とISと政府軍の内戦が継続している状況下で強盗もはびこる混乱の国情で自らの家族をや隣人を守るために奮闘、苦悩する3人の子の母親がヒロイン。
シリア紛争の元凶だったアサド政権は崩壊したものの、このような状況は恐らく現在のパレスチナでも(もっとひどい状態かもしれない)進行していることが想起される。
また本作固有の問題提起として、治安の悪化から強盗が家屋に浸入し、たまたま赤ん坊を保護しに行った隣人の若妻が強盗に他の人間の在りかを脅迫されながら自ら体を差し出して累が及ばないようにした行為を、ヒロインの家族たちが黙認したことの是非が問われることになるだろう。
戦争という異常な状態下で、正義をかざし実行することの難しさは常に可能性としてある、ゆえにそのような状態を現実化しないように努めるわけだが、本作ではただ混乱と生存のためのはかない努力が描かれるのみだ。
何とも無力感に苛まれる作品だった。

2023/02/04

2023/02/04

80点

選択しない 


隣りの家族と併せて10人で避難するダマスカスのマンションの中階の一室だけが舞台。
常に爆音と銃音が止むことはない緊張する状況の24時間を人間の葛藤も含めリアルに描いてて見応えがあった。
外に出るとスナイパーの餌食になり逃げようにも逃げられない。
そんな中2人の強盗がやって来て、若い母親と赤ん坊が遭遇してしまう。他の避難者を庇う女性。しかし、その女性を助けようとせず他の部屋で息を潜める他のメンバー。やがて各々の立場の葛藤が浮き彫りに。
間違いなく同じ状況がウクライナで起こってるだろうと思うと胸に迫るものがある

2022/07/10

2022/07/12

80点

レンタル/東京都/ゲオ/ゲオ井荻駅南口店/DVD 


こんな事が起きている現実

平和に暮らしている自分には衝撃的な作品。映画の良いところは知らない世界を知ることでもあると思って私にはまさに世界のどこかでこの様なことが起きていると認識されてくれた。2017年の作品だが今でも何処かで同じ事が起きているだろう。

2021/10/04

2021/10/04

60点

レンタル/東京都/ゲオ 
字幕


『ガザの美容室』と同工異曲

アサド政権、反体制派、さらにISの対立がシリアの首都ダマスカス。
舅と娘・息子とともに、市内の戦闘に参加した夫の帰りを待つ妻オーム(ヒアム・アッバス)。
彼らが暮らすアパートメントの一室には、他に家政婦、乳飲み子を抱えた若い夫婦がいる。
若い夫婦は同じアパートメントの5階で暮らしていたのだが、爆撃を受けて住めなくなってしまったのだ。
その日の朝、若夫婦の夫は、協力者にを得て隣国レバノンの首都ベイルートへの脱出ルートを得た。
連絡のためにアパートメントを出た彼は、建物前の駐車場で狙撃されてしまう。
家政婦はそれを目撃し、女主人のオームに伝えるが、いまは危険だから夜まで待つしかない、とオームは、誰に告げることもせず黙ってやり過ごす決断をする・・・

といったところからはじまる物語で、シリアが置かれている状況などはあまり説明はなされず、彼女たち一家が暮らすアパートメントの一室の中での緊迫した物語が展開します。

ヒアム・アッバスが主演していることもあり、2018年に公開された『ガザの美容室』(製作は2015年)を思い出しますが、戦火の中のせまい一室での一日を描くという意味で、ほぼ同工異曲、ほぼ同じよう。

若干異なるのは、安全を求めて立てこもるアパートメントの一室に、政権側かなにかは不明だが、家族の安全を脅かす男二人組が侵入してきて、若妻を犯してしまうといったところか。
夜になり、撃たれた若夫を救出しに向かうと、果たして若夫は瀕死、まだ生命があった。

どうにかして、オームの夫の仲間に連絡をつけ、助け出してもらうが・・・

と、現実世界のいまそこにある問題を描くことは評価できるのだけれど、映画的には、いまひとつの感じが強いです。
ワンシチュエーションムーヴィといった手法をとったことで、映画的な広がりがなくなってしまったからかもしれませんね。