日本軍による性暴力被害の実態を追って中国各地での取材を重ねた渾身のドキュメンタリー。また、被害女性だけでなく元日本兵の証言も集めている。初年兵教育というのは中国人捕虜を銃剣で刺すことから始まったという証言や、一般人女性や子供を殺戮したという証言などがあり、戦時には兵士を殺人マシーンに仕立て上げるのが国家のやることだと分かってくる。
被害女性らは凄まじい暴力のために精神を病み、連鎖的に健康も害した上に、村社会からは、はみ出し者にされたという辺りが実に悲しい。原告敗訴となった裁判では軍による暴力があったことまでは認められたが、国が支払う義務はないとされたのだと担当された弁護士さんが語っていた。
なお、上映後に班忠義監督による舞台挨拶があり。国の対応は非情であった反面、民間からの支援は大きく、監督も困窮する被害女性の支援もしたのだが、大きいお金を人前で渡すとかえって強盗被害など起こりかねないので、夜にこっそりと訪問して渡すことなどしたのだそう。こういった理解と温情ある人と人の交流が進めば、国同士の遺恨に対する解決の糸口になるのではと語られていました。