【あらすじ】
南軍の残党一味に集落を襲撃され、父を殺された先住民族のヤリン(マビ・ギャラン)は、残党一味のボスであるコナー(アルベルト・ファーレイ)の愛人候補として連れ去られてしまう。しかし、隙を見て逃げ出した彼女は、かつて南軍兵士だったマット(ヴァシリ・カリス)の自宅に辿り着き、介抱される。マットはインディアンが妻をレイプして殺したという過去を持っていて、ヤリンに複雑な感情を持ちながら、彼女の怪我の手当をする。が、ヤリンは白人で元南軍兵士であるマットに心を赦すことはできない。お互い不信感を持っていた二人だったが、残党一味の襲撃に逃げるべく、密かに自宅を抜け出し、険しい山中を共に漂流。そんな彼らを追っていた残党の一人と遭遇したヤリンは、彼を殺害した後、その頭の皮を剥ぎ取るのだった。マットがコナーたちに捕まりリンチを受けるが、ヤリンが助ける。そしてコナーが妻殺しの真犯人だったことに衝撃を受ける。娘を溺愛するコナーはマットとの結婚を反対しており、どうしても結婚するという娘を可愛さ余って憎さ百倍で、首を絞めたのだった。
日本では劇場未公開でテレビ放映も無かったというレアなマカロニ・ウェスタン。製作された1980年代にはマカロニ・ウェスタンもすっかり廃れてしまっている。復讐劇と残酷描写というマカロニの売りを出しときゃ良いだろという感じだけど、三流の腕前の娯楽派のヴィンセント・ドーン監督にしては手際よくまとめた、という印象。結構テンポが良くて粗製乱造されたブームの渦中にあったガラクタ作品よりはいい。おかげで復讐劇の重苦しさが無くて良い。
だがこの作品で特筆すべきものはヒロインのマピ・ギャランである。彼女は柔道を習い、水泳もやるスポーツ万能であるだけにアクション場面も、きれいだけど頭悪そうな女の子がやる頼りない殺陣とは大違いの決まりに決めた動きをしてくれる。モデル出身だけあってかなりの美人、しかも知的に見える美しさである。それにスレンダーな肉体でもあり、もう言うこと無し。ハチマキをして弓矢で敵をやっつけるのは、「ランボー」のパクリだろうな。彼女を観ていれば作品の出来がどんなに酷くても許せる。他は三流でも彼女を魅せる演出は一流だ。
こうなるとヒーローであるヴァシリ・カシスに何の魅力が無くて問題なし。なんでこんな奴が主人公なの?というのがマカロニにはたびたびあることだし、女優がよければすべてよしとする主義なんで、ヴィセント・ドーン監督、彼女にずいぶん救われたな。
それにしてもちっともマカロニ・ウェスタンらしくない邦題は誰が考えたのかな?お互いの人種に憎しみがあるふたりが協力するというんでこのタイトルなんだろうけど、ハーレークイーンみたいな甘々な題につられて観たら、頭の皮をはいだり、胸にかぎ爪を刺してひっぱりまわす残酷描写が嫌になりそうだ。