魔夜峰央の1982~1983年発表の同名コミックが原作で、未読。
ただし、映画化にあたっては大幅にストーリーの変更があったらしく、
事実上オリジナルストーリーかもしれない。
そして、そのストーリーは、
埼玉などの地方の県は嘲笑のネタにしつつ、
ちゃんと「当時者が嫌な気分にならない」は達成できていたので、
上手く出来ていた。
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コミックの映画化と言えば、
「原作を改変すると『改変の良し悪しを考える以前に、改変自体を認めない』という原作原理主義の無粋な意見がはびこる」
というのが気になるので、
この映画を観ながら、未見の原作を想像してみた。
その結果、
この作品のカットならびにカット割りが、
そのまま「マンガのコマ&コマ割り」のような印象だった。
即ち、
仮に魔夜峰央の原作が映画のストーリーと同じだとして、
なおかつ、『20世紀少年』の映画化の方法がそうだったと言われている、
「原作マンガの構図やコマ割りをそのまま映画に置き換えた」
の手法をこの作品でも行ったとしたら、
この完成版と同じものが出来上がるということ。
それは、前述の「原作原理主義者」にとっては、最高の映画化だと言える。
でも、「映画の印象がマンガみたい」が何を意味するかと言えば、
映画としてのオリジナリティが存在しないという事。
具体的には、「ワンカットの映像にこれといった映画的な動きがない」などである。
映像に動きが無いというのは、映画にとっては魅力が全くなくなるおそれがある。
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「原作の映画化」に対する私の考えは原作原理主義者とは真逆で、
「原作を改変しない」
=「焼き直し」
=「映画のオリジナリティがない」
=「映画化する意味がない=原作だけで済む」
と思っている。
したがって、この作品は表現の面では
「マンガを読んでいるみたいで、映画らしさがない」
で全く面白くなかったが、
ストーリーの面では前述の通り「映画オリジナルの創作」があった事が判ったので、
そのおかげで、かろうじて評価できた。
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【基本情報の追加】
アスペクト比=1:2.35(シネマスコープ)